Disc Review

Sweetheart Of The Rodeo 50th Anniversary: Live / Roger McGuinn, Chris Hillman & Marty Stuart (Friday Music)

ロデオの恋人50周年:ライヴ/ロジャー・マッギン、クリス・ヒルマン&マーティー・ステュアート

今年4月のレコード・ストア・デイにゴールド・ヴァイナル2枚組で限定リリースされ話題になっていた『ロデオの恋人50周年:ライヴ』。このほど広く一般に向けてCD化発売されましたー!

文字通り、カントリー・ロックという新しい音楽フォーマットをシーンに定着させるうえで大きな役割を果たしたザ・バーズのアルバム『ロデオの恋人(Sweetheart of the Rodeo)』(1968年)の発売50周年にあたる2018年に行われた記念ツアーの模様を記録したライヴ・アルバムで。

このツアー、主役をつとめたのはザ・バーズのオリジナル・メンバーであるロジャー・マッギンとクリス・ヒルマン、そして今や米カントリー・シーンの大御所のひとり、マーティー・ステュアート。

1965年、ロジャー・マッギン、ジーン・クラーク、デヴィッド・クロスビー、クリス・ヒルマン、マイケル・クラークという顔ぶれで新鮮なフォーク・ロック・サウンドを引っさげデビューしたバーズながら、アルバムを重ねるうちにメンバーがひとり、またひとりと脱退。1968年にアルバム『名うてのバード兄弟(The Notorious Byrd Brothers)』を出したころにはマッギンとヒルマン、たった2人のオリジナル・メンバーだけになってしまっていた。

彼らは再編成を余儀なくされることに。そこへ救世主のごとく加入してきたのがグラム・パーソンズ。1966年、インターナショナル・サブマリン・バンドを結成し“ロックンロール・コンボ編成でカントリーを演奏する”という当時としては斬新なスタイルを作り上げた男だ。彼は、やはり大のカントリー・ファンだったヒルマンと意気投合。バーズに正式加入することとなった。

パーソンズはヒルマンとともに、カントリーへの傾倒をマッギンに対して強く主張。ヒルマンの従兄弟にあたるケヴィン・ケリーをドラマーとして加えた4人編成でカントリーの本場ナッシュヴィルへと向かい、カントリー系の名セッション・プレイヤーの助けを借りながら、1968年、名盤『ロデオの恋人』を作り上げた。で、このアルバムでバーズは従来のフォーク・ロック路線を大きく離れ、新時代のポップ・フォーマットとしての“カントリー・ロック”を完成させた、と。

それから半世紀ということで、2018年、すでに他界してしまったパーソンズとケリー以外の、マッギン、ヒルマンが50周年記念コンサートを行った。23都市27公演のソールドアウト・ツアー。そのうちのひとつを記録したのが本作だ。彼らをバックアップしたのは、マーティー・ステュアート&ザ・スーパラティヴズ。パーソンズ、ケリーの役割だけでなく、オリジナル・セッションにサポートで参加したクラレンス・ホワイトの役割も含めて、がっちりオリジナル・バーズ2人を支えてみせる。

コンサート中盤に『ロデオの恋人』の収録曲が、まあ、曲順はアルバムとは違うものの、とりあえず全曲演奏されていて、それがメイン・パートということになるのだろうけれど。その前後も、フォーク/カントリーの名曲カヴァーも含むバーズの代表的レパートリーの雨アラレ。ツアー中1回だけ演奏されたという「霧の8マイル(Eight Miles High)」が含まれているのもうれしい。

マーティー・ステュアートとスーパラティヴズの演奏も見事で。バーズ以上にバーズらしい、まじ、充実のライヴ・パフォーマンスを展開している。クリス・ヒルマンも「これまで60年間の音楽活動の中で最高のツアーのひとつだった。毎晩が興奮の連続だった。今改めてこのライヴ・レコーディングを聞くと、ロジャー、マーティたちと一緒にまたステージに戻ったような気分になるよ」とオフィシャルにコメントしているほど。

ロジャー・マッギンも「素晴らしいミュージシャンたちと演奏した曲もパフォーマンスも大好きだ。クリスはもちろん、マーティ&ザ・スーパラティヴズと演奏するのは楽しかった。素晴らしいバンドだった。彼らはプロだ。音質的にもバーズがこれまで制作したレコードの中で最高。このバンドと一緒に演奏できたのは光栄だった」と興奮気味に語っているし。

発売元のフライデー・ミュージックのWEBストアではレコード・ストア・デイにリリースされたゴールド・ヴァイナル2枚組も限定500セットとかで扱っていて。こちらにはツアーTシャツ、バックステージ・パス、ポスター、サインなども付いているみたい。3万円くらいするけど。んー…。

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