ドゥ・ユー・スティル・シンク・オヴ・ミー/ベニー・トローカン
シャロン・ジョーンズ&ザ・ダップ・キングスやレイニング・サウンド、リー・フィールズ・エクスプレッションズ、ザ・ジェイ・ヴォンズ、スプーンといったバンドのギタリストあるいはベーシストとして活躍するニューヨークのマルチ・インストゥルメンタリスト、ベンジャミン・トローカン。
たくさんのセッションワークをこなしつつ、2021年ごろからダップトーン傘下のウィック・レコードのコンピレーションに参加したり、ソロ名義のシングルとかEPとかをリリースしたりするようになって。
で、いよいよアルバムが出ました。既発音源も多く含まれているけれど、やっぱりアルバムとなるとちょっとうれしい。実際、ベニーがソロ・レコーディングに取りかかったのは7年ほど前だったようで。以来、少しずつ少しずつ録りためた音源をまとめた1枚みたい。
1960年代後半のいわゆる“ナゲッツ”ものみたいな哀愁のマイナー調サイケ・ポップというかガレージ・ロックンロールみたいな感触を基調に、レトロなノーザン・ソウルっぽいグルーヴがあったり、フォーク・ロックものがあったり、サンシャイン・ポップがあったり、ブリティッシュ・ビートものがあったり…。さすがセッションマン、多彩なところを見せてくれている。
個人的にはやはりダップトーン系というか、けっこう前にEPやシングルですでに出ていた「ターン・バック・ユー・フール」みたいなレトロ・ソウルものが好きかも。アレックス・チルトンみたいで、もうたまりません。ちなみに、前EPのタイトル・チューンだったファイヴ・エンプリーズのカヴァー「ヘイ・ラヴァー」(ドン・コヴェイ作)もチルトンっぽくて大好きだったんだけど、それはこちらには入ってません。未聴の方、いらっしゃったらぜひそちらのEPも聞いてみてください。
ざっくり言えば、ボー・ブラメルズとアレックス・チルトンの間を行ったり来たりしながらの1枚って感じかも。12弦エレキも多用。そういう方面がお好きな方、ぜひ。フィジカルに関しては9月になるとCDも出るようだけど、主力はアナログLPみたい。カラー・ヴァイナル、あり。