ビヴァーク/ニック・フレイター
あれやこれや、いろいろな趣向で次々アルバム・リリースを続けている英国パワー・ポッパー、ニック・フレイター。本ブログでは2年くらい前、『イヤーワームズ』ってアルバムを紹介したことがあったっけ。去年の『エアロドローム・モーテル』って盤はタイミングが悪く紹介しそびれましたが。今年も新作、出ました。『ビヴァーク』。11作目のスタジオ・アルバムです。
“ビヴァーク”というのはご存じの通り、登山などの際、次に向けていったん露営することとかを言うわけだけれど。そんなアルバム・タイトルを冠された本作、内容的にはトーリー党政権時代、産業革命後の英国の没落をテーマにしたコンセプト・アルバムらしく。この辺はキンクスっぽい?
作風は変わらず、ポール・マッカートニー、グレン・ティルブルック、『SMiLE』期のブライアン・ウィルソン、フィル・スペクター、トッド・ラングレン、エリック・カルメンらのムードを受け継ぎつつのポップ・ワールドで。
全23トラック並んでいるけれど、1分以内のものとか1分半くらいのものが半分くらい入っていて、全長47分。ざっくり分けて全体が5パートって感じかな。前作に引き続きジェリーフィッシュのロジャー・ジョセフ・マニング・ジュニアも参加。その他、ユリシーズのルーク・スミス、ポッパーモストのジョー・ケインらのサポートも。
メロトロンやらオムニコードやらモーグやらソリーナやらポータトーンやら、いろいろ駆使して佳きころのオーケストラル・ポップとか、パワー・ポップとか、ポップ・プログレとかの要素を満遍なく散りばめてみせる。基本、セヴンティーズ・テイストだけれど、ロジャー・マニングを迎えた「ブーム・アンド・バスト」って曲じゃ、エイティーズMTVロックみたいなことまでやったりしていて(笑)。楽しい仕上がりです。