クロニクルズ・オヴ・ア・ダイアモンド/ブラック・プーマズ
4年ぶり。ブラック・プーマズ、待望のセカンド・スタジオ・アルバムだ。
この人たち、バンド名だけ見るとわりと過激な印象も受けるものの。けっしてこれ見よがしに既成の伝統とか美学をぶち壊すことはなく、レトロっぽさとモダニズムとを巧みに交錯させた独自の音楽性を提示。その感触が2019年のファースト・アルバムの大ヒットにつながったのかなと思うのだけれど。
もちろん今回もその感触は健在。エリック・バートンのソウルフルな歌心とソングライティング感覚。エイドリアン・ケサダのサイケなギターとアイディア豊かなアレンジ/プロデュース・センス。黒人シンガーのダイナミックな歌声を非黒人系プレイヤーがバックアップしながらファンキーなソウル・チューンへと結実させる…という往年のサザン・ソウルの美学の最新型のようなものを今回も有機的に、躍動的に、機能させている。
といっても、大ヒットしたファーストの安易な続編という感じではなく、自分たちのクリエイティヴィティをより多彩な形で発揮しようとしている意欲的な感触もあり、楽しい。この人たちの本拠が、時流に惑わされることなく多彩な音楽性を受け容れ育むマジカルなミュージック・シティ、米テキサス州オースティンだってところも大きいんだろうな。
アレサ・フランクリン、カーティス・メイフィールド、ビル・ウィザース、プリンス、たまにデヴィッド・ボウイ、スティーリー・ダンなどまで想起させる感じ。ソウル、ゴスペル、ジャズ、ヒップホップ、ラテン、レゲエ、フォーク、そしてロックなどの要素がイマジネイティヴに飛び交う、ジャンルも世代も人種も超えた1枚です。