NBPファイル vol.32:サイケな時代へ逆回転!
年末に向けていろいろボックスセットが待ち構えているわけですが。いちばん楽しみなのは、ぼくの場合、もちろん11月18日の発売が発表されたビーチ・ボーイズの『Sail On Sailor - 1972』ってやつ。1972年の『カール&ザ・パッションズ〜ソー・タフ』と1973年の『オランダ』関連の箱で。2CDデラックス、6CDスーパー・デラックス、5LP+7インチEP、2LP+7インチEPなど、いろいろなフォーマットが用意されていて。未発表音源もたっぷり。ワクワクですが。
その前にもうひとつ、やばいのがあります。ビートルズ。ちょうどひと月後の10月28日にリリースされる1966年の『リヴォルヴァー』スペシャル・エディション。これも5CD、4LP+7インチ、2CD、1CD、1LPピクチャーなど、いろいろな形態でのリリースになるみたいだけど。やっぱ5CD一択だよなぁ。
今回もジャイルズ・マーティンとサム・オケルがニュー・ステレオ・リミックスを行なっているのだけれど、スーパー・デラックスにはちゃんと当時のマスターを使ったオリジナル・モノ・ミックスの最新リマスター音源も入っているようだし、初期セッション・テイク、ホーム・デモも興味深いし、同時期に録音された「ペイパーバック・ライター」と「レイン」の新ステレオ・リミックスとオリジナル・モノ・ミックスも楽しみだし。
円安のせいで輸入盤とかものすごく高くなっちゃって。特にアナログLPとか、もうえらい騒ぎ。当然、ボックスセットとなると価格的にもドッキドキなわけですが。まあ、仕方ないよね。好きな音楽を聞くために、好きなパッケージを買うために、一所懸命働いているようなものだから。よーし、がんばろう!
というわけで、スロウバック・サーズデイ恒例のNBPファイル、今週は1カ月後に出る『リヴォルヴァー』スペシャル・エディションへの期待を抑えきれず、『リヴォルヴァー』絡みのプレイリストです。
みなさんそれぞれいろいろなイメージがあると思いますが、ぼくの場合、『リヴォルヴァー』といえばこれ。テープの逆回転。シングル曲「レイン」も含めて、そういう印象が強い。テープの逆回転って、まあ、要するにテープレコーダーの録音/再生ヘッドに対してテープを反対向きにセットして操作するという、ものすごく単純で、乱暴で、でも、1960年代後半あたりには最高にサイケで実験的でかっこよく感じられたエフェクトだった。当時、ビートルズがレコーディングで多用し始めたシタールとかタンブーラとかそういうドローンっぽい楽器の響きや、現代音楽的なテープ・ループと重なるとさらに雰囲気出ちゃったりして。
なもんで、今回のプレイリストは『リヴォルヴァー』の収録曲の中からテープ逆回転エフェクトを効果的に使った2曲をアタマとラストに置いて、同趣向のエフェクトを使った他アーティストの楽曲をさらに10曲挟む、と。そういう12曲セレクションです。全編に逆回転がかかっちゃってるみたいな大胆なものから、アタマだけ、あるいはラストだけ逆回転…みたいな軽いものまで。ミョ〜ン、ウニャウニャウニャ…としたサイケな気分を味わいつつ、来月末の『リヴォルヴァー』スペシャル・エディションの到来を待ちましょう。
Running Backwards to the Psychedelic Era
- I'm Only Sleeping / The Beatles (1966)
- Millennium Blues / Matthew Sweet (1999)
- Pre-Road Downs / Crosby, Stills & Nash (1969)
- Castles Made of Sand / The Jimi Hendrix Experience (1967)
- Darling Nikki / Prince & The Revolution (1983)
- Ogre Battle / Queen (1974)
- Hole in My Shoe / Traffic (1967)
- Don't Stop / The Stone Roses (1989)
- Look at Me I'm You / Blossom Toes (1967)
- Silly Boys / Klatu (1978)
- Epílogo / Quarteto 1111 (1970)
- Tomorrow Never Knows / The Beatles (1966)