英雄と悪漢~LAサウンドの光と陰、ビーチ・ボーイズからビーフハートまで/モンキーズ、ポール・リヴィア&ザ・レイダーズ、ザ・バーズ、ソニー&シェール、バッファロー・スプリングフィールドほか
今朝はちょっとあわあわというか、あたふたしているので、ちょっと前、5月末に出ていながらつい紹介しそびれていたコンピレーションを軽く取り上げてお茶をにごしちゃいますが。しかし、これ、内容はなかなかすごくて。
1960年代前半、サーフィン〜ホットロッドものや一連のガール・グループ・ポップものなどで大いに盛り上がった米国西海岸シーン。そこにビートルズを筆頭とする英国ビート・バンド勢の音がなだれ込んできて。一気にシーンが新局面へと移行していった激動の時期、1965年から68年のロサンゼルス・ポップ・シーンをCD3枚、90曲、全長4時間弱で総まくりする充実のコンピレーションだ。
ブライアン・ウィルソンがぐんぐん自らの内省の深みへと踏み込みつつ画期的な音像をクリエイトしようとしていた時期のビーチ・ボーイズをはじめ、モンキーズ、ポール・リヴィア&ザ・レイダーズ、ボビー・フラー・フォー、ザ・バーズ、ソニー&シェール、バッファロー・スプリングフィールド、アソシエーション、グラス・ルーツ、ママス&パパス、ステッペンウルフ、アイアン・バタフライ、マザーズ・オヴ・インヴェンション、キャプテン・ビーフハート、ストロベリー・アラーム・クロック、ザ・シード、エレクトリック・プルーンズ、インターナショナル・サブマリン・バンド(グラム・パーソンズ)、ストーン・ポニーズ(リンダ・ロンシュタット)、ティム・バックリー、ハリー・ニルソン、ルーサー・フリードマン、サジタリアス、ミレニウム、パレード、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オヴ・フレンズなど。ビッグ・ネームからカルト系まで。多彩なアーティストたちの音を収録。
サイケデリアあり、サンシャイン・ポップあり、初期ハード・ロックあり、ガレージ・パンクあり、新世代シンガー・ソングライターものあり…。しかも、当時未発表だったレア音源とかプロモ用音源とかまでけっこうたくさん駆使しながら、半世紀以上前のロサンゼルスでどんな気運が盛り上がりつつあったのかを、そこそこ的確にダイジェストして見せてくれる。
全然知らなかったバンドとかの音もたくさん含まれていて。まだまだ知らないことだらけ。勉強になります。とともに、やっぱりこの時期、1960年代後半っていうのはロックにとってとびきりマジカルでミラクルな瞬間だったのだな、と。改めて思い知るばかり。
サブスクのストリーミングもあるにはあるけれど、有名どころをばっさりカットした感じの全31曲のみ。まあ、この超マニアックっぽい手触りも本作の重要な魅力ではあるものの、やはり全90曲味わいたいものです。国内流通盤(Amazon / Tower)も出ているので、気になる方はフィジカルでゲットしておきましょう。