Disc Review

Last Train To Memphis / Bobby Charles (Proper)

ラスト・トレイン・トゥ・メンフィス/ボビー・チャールズ

来ましたよ。来ちゃいましたよ。詳細が。6月22日にアメリカでライノ・レーベルからのリリースが予定されているブライアン・ウィルソンの新作アルバム『Gettin' In Over My Head』。日本でも国内盤がたぶん7月には出るらしいニュー・アルバム。スタジオ盤としては98年の『イマジネーション』から6年ぶり。ライヴ盤を入れても02年の『ペット・サウンズ・ライヴ』から2年ぶり。メジャーからディストリビュートされる新作スタジオ録音楽曲として、つい先日、02年の「カリフォルニア・フィーリン」以来、やはり2年ぶりに映画『Mayor Of The Sunset Strip』のサントラに1曲、アンディ・ペイリーとの共作曲「Rodney On The ROQ」が入っていて盛り上がったけれど。それに続く大喜び。うれしい。

もう今さら、年老いたブライアンの新作なんか…とか、冷めたこと言う人もいる。ブライアンがライヴも含めた新作アルバムを出すたびに、そういうクールな人たちの、なんつーか、こう、かっこいい(笑)意見を耳にする。今回も多いのかな。でも、まあ、それはそれ。ある意味、そういうクールな立ち位置をとれる人たちがうらやましいというか。ぼくの場合は、もうとにかくブライアンが何か作ってくれたのであれば、それだけでOK。今やブライアンの作り出す音楽が好きなのか嫌いなのかさえわからない状態になっちゃっているし(笑)。いいとか悪いとか、そんな判断、ぼくごときにできるわけもなく。何の疑念もなくありのままを素晴らしいものとして受け入れる。そういう身体になっちゃってます。

てことで、今回のアルバムももちろんぼくにとっては疑いもなく名盤です。参考にならず、すみません。出たら米英日盤、全部買いです。近未来の愛聴盤の座、確定。あれ? ぼくはこのアルバム、もう聞いたってことなのか? 聞いちゃってていいのか? どこかで拾ったのか? 夢で聞いたのか? よくわかりませんが(笑)。何はともあれトラックリストですよ。

  1. How Could We Still Be Dancin' (feat. Elton John)
  2. Soul Serchin' (feat. Carl Wilson)
  3. You've Touched Me
  4. Gettin' In Over My Head
  5. City Blues (feat. Eric Clapton)
  6. Desert Drive
  7. A Friend Like You (feat. Paul McCartney)
  8. Make A Wish
  9. Rainbow Eyes
  10. Saturday Morning In The City
  11. Fairy Tale
  12. Don't Let Her Know She's An Angel
  13. The Waltz

90年の“スウィート・インサニティ・セッション”から3曲と、96年の“ペイリー=ウィルソン・セッション”から4曲。あと、「How Could We Still Be Dancin'」には、ビーチ・ボーイズとともにアンディ・ペイリーのもとで録音した(んだっけ?)「Dancing The Night Away」と一瞬かぶるフレーズもあるような…。ないような…。ペイリー・セッションで録音されたカール・ウィルソンのヴォーカル・トラックをそのまま流用した「Soul Searchin'」とクラプトンがゲスト参加している「City Blues」は、先日の“スマイル・ツアー”でも披露されていた。「Desert Drive」はアンディ・ペイリーがバック・バンドに参加していたツアー(含・日本公演)で取り上げていた。てことで、西新宿方面にお出かけになることが多いマニアの方々にとって初お目見えの曲は4~5曲って感じでしょうか。

とはいえ、どの曲も、多かれ少なかれ、ブートでおなじみのお蔵入りヴァージョンとはちょっと違う新アレンジがほどこされているので、その種の蔵出し曲も新鮮で楽しい…って、ぼくはこのアルバム、すでに聞いているのか? しつこいですね。どうしていいやらよくわからないので、とりあえず妄想ってことで。そう思って読んでください。まだ演奏陣とか、その辺についての細かい情報はわからないものの。コーラスはかなりの部分、ブライアンの多重っぽい仕上がり。現在のブライアン・バンドっぽい声ももちろん入っているけれど、ブライアンがかなり奮闘しています。豪華なゲスト陣はほんとに必要だったのかどうか、その辺は微妙ながら。ブライアンさんがそう決めたのなら、いいです。その方向で楽しみます。確かに、たとえばポールがブライアンに“A Friend Like You”って歌いかけてるわけで。ともだちなわけで。それはいいよね。くるよね。

メリンダさんがちょっと前に開示した情報によれば、今、ブライアン・バンドは7月から再開するツアーに先駆けて、鋭意『スマイル』のスタジオ録音をしているそうだし。ツアーのDVDの編集も進められているそうだし。ライヴ盤も出るかもしれなそうだし。初夏以降、ブライアンのちょっとしたリリース・ラッシュとなりそうな予感。お金ためて待ちましょう。

てことで、全然ブライアンとは関係ありませんが、今回のピック・アルバム。ボビー・チャールズです。75~01年の未発表音源15曲をディスク1に、近作3枚からのベスト選曲19曲をディスク2に収めた自選のコンピレーションだ。ファッツ・ドミノ、デルバート・マクリントン、ウィリー・ネルソン、ダン・ペン、スプーナー・オールダム、ニール・ヤング、クラレンス・フロッグマン・ヘンリー、エディ・ヒントン、ノーバート・パトナム、ベン・キース、ジェフ・マルダーらがサポート。悪かろうはずもなく。ディスク2はあくまでもボーナス・ディスク扱いなのだが、こちらも絶品。便利。南部R&B感覚をがっちり自分のものにした…というか、むしろ南部R&Bの形成そのものに大きな役割を果たした、と評価すべき才能あふれる白人シンガー・ソングライターの底力をたっぷり味わえます。

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