エクスターナル・コンバッション/マイク・キャンベル&ザ・ダーティ・ノブズ
もう15年以上前、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズがまだばりばり充実した活動していた時期に、しかもマッドクラッチとしての活動も復活させていたあのイケイケの時期に、その中核メンバーとして重要な役割を担っていたひとり、マイク・キャンベルがスタートさせたサイド・プロジェクトがザ・ダーティ・ノブズだ。
メンバーはキャンベル(ギター、ヴォーカル)の他、ジェイソン・シネイ(ギター)、ランス・モリソン(ベース)、マット・ローグ(ドラム)。キンクスとか、ローリング・ストーンズとか、レッド・ツェッペリンとか、アニマルズとか、そういった1960年代バンドのどこか粗削りさがそのまま放置されているあの感触を自分なりに再構築したいという思いで組んだバンドだと発言していたけれど。
2010年にシングル「フィーリン・ハイ」をリリース。が、フル・アルバムが出たのはそのさらに10年後。2020年に、ジョージ・ドラクリアスのプロデュース、クラウス・フォアマンのジャケット・デザインによる『レックレス・アバンダン』をリリースして。2021年にはレコード・ストア・デイ限定の7インチ・シングルとしてJ.J.ケイル作の「ハムディンガー」を出して。
で、このほど、待望のセカンド・アルバム『エクスターナル・コンバッション』が届けられた、と。今回もドラクリアスがプロデュース。やはり前作から引き続きハートブレイカーズ/マッドクラッチ仲間のベンモント・テンチも参加。前作のゲストだったクリス・ステイプルトンに代わって、今回はロックンロール・レジェンド、イアン・ハンターとカントリー系のマーゴ・プライスが1曲ずつ客演している。
前フル・アルバムほど猥雑で荒々しいガレージ・ロックンロールという感じではなくなったかも。といっても、妙にまとまっちゃったとかそういうことではなく。ラフ&タフな空気感はそのまま、スケール感を増したような。ある種の貫禄というか、かつてのハートブレイカーズ的な不敵かつ堂々たる佇まいがここによみがえっているような。そんなうれしい感触がある。
推進力に満ちたブギー・グルーヴあり、軽快なロカビリーあり、豪快なリフものあり、哀切に満ちたカントリー・ソウル・バラードあり、鉄壁のブルース・ロックあり。腕自慢の職人が本音で繰り出す極上のアメリカン・ロックの雨アラレだ。痛快!