Disc Review

Tangled Heart / Dakota Theim (self-released)

タングルド・ハート/ダコタ・シーム

オレゴン州ポートランド出身。ピアノ、ギター、ベース、ドラムを自ら操るポップ&キャッチーなマルチ・インストゥルメンタリスト、ダコタ・シームによるセカンド・フル・アルバムだ。去年の1月に出たファースト『サムホエア・アンダー・ザ・サン』同様、音楽仲間であるベン・ビロッティがリード・ギター、アレックス・ワーナーがベースを担当している他、残る楽器すべてをダコタ・ザイムが一人多重録音している。

7歳でピアノを習い始めて、続いてプレステ2のゲーム『ギター・ヒーロー』でギターを覚えて、やがてベースとドラムを独学して…という世代。確実に21世紀の音楽家ながら、昨年のファースト・アルバム同様、ぱっと聞きマッカートニーLikeというか、バッド・フィンガーLikeというか、ジェフ・リンLikeというか、ブレッドLikeというか、曲によってはスーパー・トランプLikeというか…。ファースト同様というより、そのレトロ度合いはさらに増したみたい。

もともと子供のころから、両親が聞いていた1970年代ポップ/ロックから影響を強く受けてきており、そのあたりの味が自身のソングライティングのコアな部分を形成しているわけだけれど。なにやらこのパンデミックの間、ポートランドの実家に帰り両親のリヴィングルームで過ごしていたそうで。そこで両親のレコード・コレクションに改めて接し、その魅力を見つめ直し、研究し…。

その成果がより色濃く表われた1枚が仕上がったということだろう。基本的なレコーディングもその両親のリヴィングルームでの多重宅録。その後、ビロッティの自宅でオーヴァー・ダビング、あるいは一部プレイの差し替えが行なわれて、ロサンゼルスでミックス〜マスタリング。 

歌声に今いち深みがないのだけれど(笑)、その若干チープな感触もまたこの人のポップ・テイストに無垢なキュートさをプラスしているような気も…。好感を持って接すればたまらなく楽しい1枚です。この人も自主リリースで、フィジカルは自身のWEBストアでのみの販売みたい。

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