アフター・スクール・スペシャル/ランチボックス
カリフォルニア州オークランドのインディー系パワー・ポップ・デュオ、ティム・ブラウンとドナ・マッキーンによるランチボックス。ぼくが彼らのことを知ったのは2014年の『ランチボックス・ラヴズ・ユー』ってアルバムで。なんか1970年代グラム・ロックと1960年代バブルガム・ポップとをパンク・マインドをまぶしながらベッドルームでロー・ファイに交錯させたみたいなサウンドがやけに気になったものだ。
で、いろいろ調べてみたら、インディーズから最初のアルバム『ザ・マジック・オヴ・サウンド』をリリースしたのが1999年で。もう20年選手。といっても、ファーストのあと出たのは2001年の『イヴォルヴァー』くらいで。その後いったん活動休止していたらしく。その間、ドナがバーズ・オヴ・カリフォルニアと名乗って2013年にアルバムを出したりしていたのだけれど。
やがて休止していたランチボックスを復活。で、リリースしたのがその『ランチボックス・ラヴズ・ユー』だ、と。10年ちょいぶりの復活作だったわけだ。それからまたまた6年くらいが経って。新作が出ました。それが本作『アフター・スクール・スペシャル』。また、いつものバンドキャンプで見つけました。
ドナがベースとヴォーカル、ティムがギターとヴォーカル。そこにサポートでキーボード、ドラム、コーラス、そして何より大事な、ゲイリー・オルソンとジェレミー・グッディによるトランペットが加わって。今回もごきげんにチープかつジャングリーかつポップかつキャッチーなロックンロールをぶちかましてくれている。
楽曲のクオリティ的には今回のアルバムが過去イチ充実。1960年代サンシャイン・ポップ的なニュアンスとかサイケっぽさとかモッズっぽさとかがいい感じに濃厚で。ぐっとくる曲だらけ。コード進行も魅力的。雑さと洗練とがぐしゃぐしゃに入り乱れるアレンジもなかなか。今どきこのロー・ファイ感触はどうなのよ、と思わなくもないけれど(笑)、その辺の音質的なことも含めて多層的な郷愁なのかな。60年代、70年代のみならず、90年代とかまで視野に入れながら時空をねじ曲げているってこと? だとしたら、なんだか面白い。
体型もすっかり油断だらけで、見た目、思いっきりおっちゃん/おばちゃん化しちゃった20年選手でありながら、フレッシュさと無邪気さを失わない。変な二人組だなぁ。なんかうれしい。