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Disc Review

Candid / Whitney (Secretly Canadian)

キャンディッド/ホイットニー

シカゴの、なんというか、こう、ちょい屈折ぎみの…というか、ちょびっとソウルフルな感覚もまぶしたインディ・フォーク/ロック系の…というか、そういう感触のポップ・デュオとしておなじみ、ホイットニー。

今年4月にも来日の予定があったけれど、当然のごとく中止になってしまって。残念。けど、そんな落胆気分を救ってくれる新作アルバムの登場だ。2016年の『ライト・アポン・ザ・レイク』、去年の『フォーエヴァー・ターンド・アラウンド』に続くサード・アルバム。今年に入ってからちょこちょこ小出しにされてきた何曲かの先行トラックからも想像できた通り、なんと3作目にしてカヴァー・アルバムをぶちかましてきた。

そういえば、この人たち、何年か前にいきなりオランダのポップ・ソウル・アクト“ライオン”の「ユーヴ・ガット・ア・ウーマン」と、ドリー・パートンの「ゴナ・ハリー(アズ・スロウ・アズ・アイ・キャン)」をカップリングしたカヴァー・シングルをリリースしたりして。その選曲のヒネり具合にニヤリとさせられたものだ。ボブ・ディランとかウィルコのカヴァーをレコーディングしたこともあったし、ライヴでもニール・ヤングやNRBQ、アラン・トゥーサンあたりのカヴァーが定番だし。

で、そんな流れもあって、今回も地元のスタジオであれこれ面白いカヴァーものを何曲かレコーディングしているうちに、なんだか盛り上がってしまい、とうとう全曲カヴァーの新作アルバムを作り上げてしまった、と。そういうことらしい。今週は、これとかこれとか、本ブログで立て続けにカヴァー系ニュー・リリースを紹介しているけれど。これもまたそのひとつ。ということで、この盤も軽く紹介しておきましょう。

エンジニアは一昨日、ここで紹介したビル・フリゼール同様、タッカー・マーティン。シカゴのツリーハウス・スタジオとポートランドのフローラ・レコーディング&プレイバック・スタジオで録音された。

取り上げている曲はケレラの「バンク・ヘッド」、ダミアン・ジュラードの「A.M. AM」、ジョン・デンヴァーの「故郷に帰りたい(Take Me Home, Country Roads)」、ムーンドッグの「ハイ・オン・ア・ロッキー・レッジ」、ジャック・アレルの「サムシング・ハプン」、デヴィッド・バーン/ブライアン・イーノの「ストレンジ・オーヴァートーンズ」、ザ・ローチズの「ハモンド・ソング」、ラビ・シフレの「クライング、ラフィング、ラヴィング、ライイング」、SWVの「レイン」、そしてブレイズ・フォーリーの「レインボウズ・アンド・リッジズ」。

“ワクサハッチー”ことケイティ・クラッチフィールドのゲスト・ヴォーカルをフィーチャーしたジョン・デンヴァー作品みたいな超メジャーどころから、新旧R&Bもの、超渋めのシンガー・ソングライターもの、映画音楽系、果てはムーンドッグみたいな奇才のアヴァン・ポップまで。輸入盤屋さんのバーゲンでアナログ盤を漁っているときみたいな(笑)、なんだかものすごく楽しい超ジャンル感が味わえる。

もちろん、そのすべてをホイットニーならではの浮遊感に満ちた音像のもとに引き込んでリメイクしていて。楽曲たちへの深い愛情と、自身のクリエイティヴィティとの案配がいいバランス。サブスクとかYouTubeとかで多彩な新旧音楽に分け隔てなく接することができる世代ならではのカヴァー・アルバムって感じだ。そうしたアティテュードも、音像も、ともに涼しげなので、残暑を乗り切るには絶好かも、です。

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© 2020 Kenta Hagiwara