Disc Review

The Explorers Club + To Sing And Be Born Again / The Explorers Club (Goldstar Recordings)…with a Reopening Message from CRT

まずは「CRT & レココレ」イベント、再開のお知らせ!

久々にCRTイベント開催のお知らせです!

“無観客・配信公演”という慣れない形ではありますが、いつものメンバーがみなさんの端末にお邪魔して、わいわい音楽談義を再開できることになりましたー! メンバー一同、大いに盛り上がっております。

この3月から心機一転、東京・新宿の“ROCK CAFE LOFT is your room”を新本拠地に新シリーズをスタートさせる予定だった毎月恒例「CRT & レココレ」のレコード・コンサート+トーク・ライヴ。新型コロナウイルス禍の混乱もあって、3月、4月、5月…と開催自粛させていただいてきましたが、6月21日から手探り状態でちょっとずつ再始動していくことになりました。

次の日曜日の夜です。

告知がぎりぎりですみません。PCの方は右のサイドバー、スマホの方は下のほうに掲載してあるCRT Infoなどご参照のうえ、こぞってのご参加、お待ちしております。申し込みはこちらから。配信というのはCRTにとって初の試みなので、いろいろとバタバタしちゃいそうな予感もなくはないものの、そんなドタバタも含めてざっくりとお楽しみいただければ、と。

著作権問題などもろもろあって、今回、アナログ盤とかCDとかで直接音楽をかけることはできないのが残念ですが、Twitterのハッシュタグなど利用しつつ、ストリーミングのプレイリストのURLをお知らせしたり、みなさんからのメッセージも交えて盛り上がったり、いろいろ試してみたいと思っています。CRT流のオンライン飲み会。ゆるっと楽しみましょう!

ジ・エクスプローラーズ・クラブ+トゥ・シング・アンド・ビー・ボーン・アゲイン/ジ・エクスプローラーズ・クラブ

と、CRT再開のお知らせに続いて、今朝のディスク・レビュー。久々ってことだと、この人たちもけっこう久々。4年ぶりか? エクスプローラーズ・クラブのニュー・リリースだ。しかも2作! 久々なぶん、4作目と5作目まとめて届けてくれたのかも。まだストリーミング、あるいはダウンロード販売のみの状態だけれど、来月になればフィジカルのリリースもある。フィジカルをゲットするまで、ストリーミングで一足先に満喫しましょう。

超オタクなポップス・マニア、ジェイソン・ブルーワーを中心にサウス・カロライナ州チャールストンで結成されたエクスプローラーズ・クラブ。ジェイソン以外のメンバーは流動的ながら、現在もナッシュヴィルへと本拠を移して鋭意活動中。EPとかもいろいろ出しているけれど、フル・アルバムとしては2008年の『フリーダム・ウィンド』、2012年の『グランド・ホテル』、2016年の『トゥゲザー』の3作を祖ったりしたペースで発表してきた。

光栄なことに、ぼくは彼らのデビュー・アルバムの国内盤ライナーを書かせてもらったのだけれど。その冒頭、ぼくはこんなことを記した。

“ビーチ・ボーイズ、フィル・スペクター、バーズ、アソシエーション、ゾンビーズ、ビートルズ、ウイングス、ELO、ロジャー・ニコルス、バート・バカラック、ハイ・ラマズ、ワンダーミンツ…。今、ここに列挙したアーティストたちの名前を聞いてもピンとこないとか、彼らの音楽に何の興味も持てないというような方にとって、本CDはまったく無価値だ。聞く必要は一切ない。断言する。が、反対にこれらのアーティストの音楽が大好きで、彼らの多彩な音楽性に何らかの共通項を感じることができる人ならば、間違いない、あなたはエクスプローラーズ・クラブの大ファンになるだろう。”

そんな持ち味はアルバム・デビューから12年を経た今なお、まったく変わっていない。今回もまた1960年代を中心に古き良き時代のアメリカン・ポップスに限りない敬意と愛情を表した2枚だ。ここにきて初となるセルフ・タイトルド・アルバムのほうは、ジェイソンの超マニアっぷりが存分に発揮された全曲オリジナル・ナンバーの1枚。『トゥ・シング・アンド・ビー・ボーン・アゲイン』のほうは、これまたジェイソンの超マニアっぷりが存分に発揮された(笑)全曲カヴァーで占められた1枚。

ファースト、セカンドも手がけていたマット・ゴールドマンがプロデュースに復帰。ベーシック・トラックは、エルヴィス・プレスリーやボブ・ディラン、ザ・バーズなどが愛用していたことでもおなじみ、ナッシュヴィルの伝説的なスタジオAでほぼ一発録りでレコーディングされたとのこと。このあたりもさすがマニアック。

「エルヴィスの歌を録るのに使っていた古いリボン・マイクでオルガンのオーヴァーダブをレコーディングするなんて、まじ、グレイトな体験だったよ」

とあるインタビューでジェイソンはそんなふうにはしゃいでいた。“場の魔法”が物を言ったか、トレードマークでもあるコーラス・ハーモニーもいつに増して豊かに響く。まさに夢見心地だ。ベアネイキッド・レディーズのスティーヴン・ペイジ、ドライヴ・バイ・トラッカーズのジェイ・ゴンザレスらもゲスト参加している。

ちなみに、カヴァー・アルバムをやることにしたのは、かつてセカンド・アルバムをリリースする前にファン向けのサービスでいろいろなカヴァー曲を公開したのが好評で、そのときのことを今でもよく言われるらしく。だったら、ちゃんと1枚まるごとカヴァー・アルバムをやっちゃえ、ということらしい。

ということで、『トゥ・シング・アンド・ビー・ボーン・アゲイン』で取り上げているのは、トミー・ボイス&ボビー・ハートの「あの娘は今夜(I Wonder What She’s Doing Tonight)」、タートルズの「あの娘はアイドル(She’d Rather Be With Me)」、スリー・ドッグ・ナイト結成以前のダニー・ハットンの「ローゼズ・アンド・レインボウズ」、ポール・リヴィア&ザ・レイダースの「キックス」、マンフレッド・マンの「マイティ・クイン」、ゾンビーズの「彼去りし後には(Maybe After He's Gone)」、オルフェウスの「キャント・ファインド・ザ・タイム」、ラヴィン・スプーンフルの「つらい僕の心(Didn’t Want To Have To Do It)」、ハーブ・アルパートの「ジス・ガイ(This Guy’s In Love With You)」、そしてフランキー・ヴァリ/ウォーカー・ブラザーズの「太陽はもう輝かない(The Sun Ain’t Gonna Shine Anymore)」。

有名どころからオブスキュアのところまで、なかなかツボを突いた選曲だ。まあ、オリジナル・アルバム『エクスプローラーズ・クラブ』のほうも、実は1曲目からいきなりタートルズの「エレノア」みたいな「ルビー」って曲でスタートしたりして。結局のところ、どっちもほぼ同じ手触りで楽しめちゃうところが、なんともこの人たちらしい。

21世紀のサンシャイン・ポップ。今回も2方向から存分に堪能させていただきます。夏が来るなぁ…。

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