ヘルプ・アス・ストレンジャー/ザ・ラカンターズ
ジャック・ホワイト、ブレンダン・ベンソン、ジャック・ローレンス、パトリック・キーラーの4人からなるスーパー・グループ、ラカンターズのサード・アルバムだ。2作目『コンソーラーズ・オヴ・ザ・ロンリー』のリリースが2008年だから。なんと11年ぶりということになる。
もうずいぶん長いこと、メンバーそれぞれ独自のプロジェクトに専念している感じで。何年か前、ブレンダン・ベンソンとジャック・ローレンスがジャック・ホワイトのコンサートに飛び入りしたというニュースを目にしたこともあったけれど、ラカンターズは彼らにとってもう過去のプロジェクトなのかなと思い込んでいただけにびっくりだ。
去年の暮れ、『コンソーラーズ・オヴ・ザ・ロンリー』の10周年記念デラックス版に添えられる両A面アナログ・シングルとして2曲の新録音が世に出て。今年になってからドノヴァンをカヴァーした「ヘイ・ジプ」がバンドキャンプで公開されて。その後、初の単独来日公演などを挟み、ついに全編のお目見えとなった。
まるで往年のアニマルズがドノヴァンをカヴァーしたみたいな、その「ヘイ・ジプ」以外、ジャック・ホワイトとブレンダン・ベンソンの共作曲。レッド・ツェッペリン、フー、T・レックス、バッドフィンガー、クイーン、ウイングス、チープ・トリックあたりからの影響を強くたたえた音作りのもと、ロック、ブルース、フォーク、プログレ、サイケ、パワー・ポップなど多彩な音楽性を融合して聞かせる感触は、11年ぶりとはいえ、変わらず。
というか、休んだせいなのかどうなのか、過去2作よりもアプローチはハードになった感も。グルーヴの捉え方も柔軟になった。来日時にビデオクリップ撮影が行なわれたらしきアルバム・タイトル・チューンあたりがその筆頭か。サード・マン・レコードからジャック・ホワイトのプロデュースでソロ・デビューしたナッシュヴィルのシンガー・ソングライター、リリー・メイ・リシュがフィドルで参加した「ソーツ・アンド・プレイヤーズ」は、レッド・ツェッペリンのアコースティックものを聞いているみたいな気分だし。
そのリリー・メイの姉妹でもあるスカーレットもマンドリンで参加。クイーンズ・オヴ・ザ・ストーン・エイジのメンバーで、ジャック・ホワイトの別プロジェクト、デッド・ウェザーのメンバーでもあるディーン・フェルティータもキーボードでいい仕事してます。
次は10年空けずにお願いしたいものです。