ノー・ピア・プレッシャー/ブライアン・ウィルソン
ブライアンが新作のレコーディングにとりかかったというニュースが彼のサイトに載ったのはもう2年前。2013年の6月のことだ。その段階では、なにやらジェフ・ベックとの共演アルバムになるとか、2012年にリリースされたビーチ・ボーイズの50周年記念再結集盤の続編的組曲になるとか、いろいろ噂されたけれど。
結局、この形になりました。ロサンゼルス・ポップ・バンドの後輩キャピタル・シティーズのセブ・シモニアン、ファン.のネイト・ルイス、ポップ・カントリー系のケイシー・マスグレイヴズ、ズーイー・デシャネルとM.ウォードによるシー&ヒム、多重録音アカペラの第一人者ピーター・ホーレンズなど、若い世代のゲストを迎えつつのポップな1枚。もちろんビーチ・ボーイズ仲間、アル・ジャーディンやブロンディ・チャップリンも何曲かでリード・ヴォーカルを分け合っている。
まあ、詳しくは4月20日のCRTブライアンまつりであれこれ盛り上がりたいと思ってますが。ざっくり言うと、若いゲストを迎えた曲よりも、やっぱりアルとヴォーカルを分け合う曲のほうが仕上がりがいいというか、落ち着くというか。泣けます。ゲストものではシー&ヒムとピーター・ホーレンズとの共演曲が個人的にはお気に入り。もちろん、どの曲も、さすがブライアンと言うべき素晴らしい仕上がりで。唯一無比のコードワークやコーラスワークはもちろん、年輪を重ね、ぐっと枯れた歌声も胸を打つ。随所に『ペット・サウンズ』期を想起させるアレンジが顔を見せるのも涙腺を刺激する。
このアルバム、海外では13曲入りの通常盤と16曲入りのデラックス・エディションがあって。国内盤はそのデラックス・エディションにさらに2曲ボーナスを追加したものになっている。ライナーはぼくが書かせていただきました。
けど、実はライナーを書く段階では海外の通常盤、つまり13曲入りの音源までしか聞くことができなかったもんで。ライナーでは触れていないのだけれど。デラックス・エディションおよび国内盤に入っている「サムホエア・クワイエット」って曲。これ、65年にブライアンが名うてのセッション・ミュージシャンを集めて録音した名インスト曲「サマー・ミーンズ・ニュー・ラヴ」に歌詞をつけたものでした。愛奴もびっくりっすね。
やっぱブライアンはいいなぁ…。