ジャングル・リヴァー・アドヴェンチャー/ポール・ウィリアムス
え? JB? ジャクソン・ブラウン? とか。JT? たばこの? とか。そこからかよ…って経験はよくあるわけですが(笑)。あ、あと、エルヴィスの話をしていて、エルヴィスって、どっちの? って言われたこともあるな。エルヴィスはエルヴィスだろ。どっちのも何もねーよ。ひとりしかいねーよ。コステロはコステロだよ、とか心の中で毒づいたり。いやー、名前ってのはむずかしいものですが。
ブライアン・ウィルソンもね。近ごろはおひげでおなじみの野球選手がいたりするから、使う局面を間違うとめんどくさい。
中でも最高にややこしいのがポール・ウィリアムスだ。まあ、われわれの仲間うちでは当然、「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」とか名曲をたくさん生み出したシンガー・ソングライターのポール・ウィリアムスがいちばんおなじみなわけだけれど。テンプテーションズの一員だったポール・ウィリアムスもいるし、『クロウダディ』誌を創刊した音楽評論家のポール・ウィリアムスもいる。他にもSF作家、映画監督、陸上選手、サッカー選手など、様々な分野にたくさんのポール・ウィリアムスがいる。まあ、普通の名前なんだろうけど。ここまで同姓同名が多いと、いちいち肩書きつけなくちゃならなかったりもして、けっこうめんどくさいものだ。
そんなポール・ウィリアムス界をより一層ややこしくするかのように現れた、さらなるポール・ウィリアムス。ニュージーランドを本拠に活躍しているシンガー・ソングライターさん。宅録っぽいシンセ・サウンドでポップな曲を送り出し続けている。ぼくが初めてこの人を知ったのは2012年。『ライミン&ガーファンクル』って、くっだらない駄洒落タイトルを冠したミニ・アルバムをバンドキャンプで見つけて、あまりのアホらしさに入手してみたのがきっかけだった。以来、なんだか気になって、新作が出るたびに追いかけてきたのだけれど。
そんなポール・ウィリアムスくんの4作目にあたる新作ミニ・アルバムが出た。デビュー当初はラップもふんだんに盛り込んだ、わりとヒップホップ色濃い音作りの楽曲が中心だったのだけれど、作品を重ねるごとにその辺の味が薄れてきて、オールディーズっぽい甘酸っぱさをたたえたポップ・ソウル・チューンのほうが前面に押し立てられるようになってきた。今回はアルバム全編にわたってそっち方面の味を全開にした仕上がり。個人的にはこれまででいちばん好きかも。
名前、変えてくんないかなぁ…。無理か…。