Disc Review

Ya-Ka-May / Galactic (Anti/P-Vine)

ヤ・カ・メイ/ギャラクティック

こういうことを妙に俯瞰した視点から語るのはどうなのかなとも思うけれど。毎年、年末年始なると訃報も増える気がする。以前、NHK-FMでオールディーズ番組をやらせていただいていたころも、年末年始に追悼特集が集中していたような記憶が…。寒いってこともあるけど。んー、寂しい季節ですね。

世代ってのも大きい。最近悲しい知らせが届けられたボビー・チャールズにせよ、浅川マキさんにせよ、小林繁投手にせよ、その訃報に接して自分の人生の歩みと重ね合わせながら複雑な思いをしみじみかみしめたのは、たぶんほとんどが40歳代半ばから上の世代だろうし。そのくらいの世代になると、どうしたって自然と自分に影響を与えてくれた先達の訃報に接することが多くなるものだし…。

ぼくなんかもう53歳だから。これから、ますます悲しい知らせが増えるんだろうなぁ。Twitterでも書かせてもらったことだけれど。自分がいきいきと属していた世紀の文化がとうとう本格的に終わりを告げようとしているんだな、みたいな。そんな気分になってます。

それだけに、たとえば以前ここでも取り上げたダイアン・バーチとか、ノージが先日ブログで紹介していたフィンドレイ・ブラウンとか、われわれの世代がかつてぞっこんだった音楽性なり文化なりを、世紀を超えて受け継ぎながら自分なりの新しい音楽をのびのび構築している若いミュージシャンに出くわすと、ちょっとだけ、ささやかにうれしくなったりする。

この人たちもそう。まあ、今となってはさほど“若い”ってわけでもないけれど。ギャラクティック。90年代から、古きよきニューオリンズR&Bの豊潤なグルーヴを新世代なりの感覚で再構築して聞かせてくれていたジャム・ファンク・バンドで。頼もしい連中だなぁと、ぼくも新作が出るたび楽しみにしてきたものだけれど。特に今回、来日に向けて日本先行発売された新作はぼくのようなおっさん音楽ファンのツボにびたっとハマるごきげんな一発となった。

前作ではぐっとヒップホップに接近して、強靱なビート感覚をいっそう研ぎすましてみせたギャラクティックだけれど。ほぼ2年半ぶりのリリースとなる今作では、前作の感触はそのまま、アラン・トゥーサン、アーマ・トーマス、ワイルド・マグノリアスのビッグ・チーフことボー・ドリス、ウォルター“ウルフマン”ワシントンら地元ニューオリンズの偉大な先輩たちをゲストに迎え、温故知新ムード満点の最新型ニューオリンズ・ファンクをぶちかましてみせる。もちろん、先輩ばかりでなくニューオリンズ新世代組もそれなりにゲスト参加。燃えます。おっさんなりに、ですが…(笑)。

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