ラディテュード/ウィーザー
ライ・クーダー/ニック・ロウの来日公演。ご覧になった方はみなさん同じ感想でしょう。むちゃくちゃ良かったです。年齢を重ねて、二人とも思い切り楽に、自由になっていて。でもお互い、相手の音もしっかり聞いて、一瞬一瞬に反応する鋭い反射神経みたいなものにはさらに磨きがかかっていて。鉄壁。無敵。
近年のボブ・ディランやニール・ヤングを見ていても思うことだけれど。これはロックだな、と。昨日今日の若いミュージシャンには絶対にできないロック。いいもの見せていただきました。はらんでいる音楽性が深く広大すぎるだけに、聞くほうにもそれだけリスナーとしてのキャリアが必要かもしれなくて。彼らの出す音が若い人の耳にどう届くのか、まったく想像もつかないものの。おっさん音楽ファンとしては、珠玉のひととき。やー、トシはとってみるもんだね。
全曲、堪能しました。個人的には後半、ライ・クーダーが生ギターを抱えたパートがやはりぐっときた。ライ・クーダー自身はあまり生ギターに思い入れがあるわけでもなさそうだけど、70年代の彼に大影響を受けたリスナーとしては、どうしても生が、ね。たまらんです。特に、女性コーラスによる「インポシブレ・オルビダルテ」(だったかな? 記憶が曖昧)から「ヒール・ハフ・トゥ・ゴー」へと突入する瞬間、燃えました。
で、今回のピック・アルバム。この人たちも、還暦になってもなおロックし続けてくれるのでしょうか。してくれそうだな。そんなことを思わせる新作です。いい仕上がりだったものの、良くも悪くも「こいつらトシとったなぁ」と思わせる局面もあった前作はファンの間で賛否両論を巻き起こしたけれど。今回は再びリヴァース・クオモが自らの立脚点というか、出発点というか、その辺を見直したかのような快作。外部のソングライターの力も借りつつ、ウィーザーらしいポップ感をどかんと炸裂させている。またまたいい曲目白押し。けっこう暗中模索期もあったけれど、結果的にはいいキャリアの積み方をしているのでは?
基本的には10曲入り。US版デラックス・エディションはそれに4曲入りのディスク2が付く。欧版はディスク1のほうにボーナス1曲追加。日本版デラックス・エディションはディスク1にさらにもう1曲追加した全16曲。これがいちばんお得かな。でも、日本のiTunesストアでは17曲入り、USのiTunesストアでは29曲入りが出てます。ややこしいのぉ…。