Disc Review

Warren Zevon (Collector's Edition) / Warren Zevon (Rhino)

さすらい/ウォーレン・ジヴォン

年末ですから。最近は、ホッピーでハッピー!みたいな夜も多くて(笑)。更新の勢いが落ちてます。仕方ないです。年末だから。

加えて、なんか今いちグッとくるニュー・リリースがない気がするんだけど。ぼくが見つけられていないだけかな。なので、ちょっと前に出た盤で買い逃していたものを拾ったりしている状況です。それでもけっこう見逃し盤は多いので。それなりに発見があって楽しい日々。アーネスト・V・ストーンマンの20~30年代音源のアンソロジーとか、なんでもっと早く見つけなかったのやら。そういうのをよく聞いている毎日ですが。

これも先月半ばにライノから出た盤。ウォーレン・ジヴォンが76年にリリースした本格的ソロ・デビュー盤のデラックス・エディションだ。この人、とことん過小評価されてるなぁと思う。日本ではもちろん、本国アメリカでも、だ。03年に他界する間際は、ミュージシャン仲間の強力な後押しもあってか、一瞬注目度が上がった気もするけれど。本盤以降、10枚以上のオリジナル・アルバムをリリースしているにもかかわらず、全米アルバムズ・チャートでトップ20に入った盤はほんの数枚。残りはせいぜい80位だの90位だの、その辺をうろうろするばかり。

評論家受けは悪くないのに。もったいないなぁといつも思う。特に本盤を含めて、76~82年、アサイラム在籍時の作品群はもっと評価されるべき。同じような思いを抱いているファンの方も少なくないはず。東のブルース・スプリングスティーンに真っ向から対抗できる西の才能なのだから。荒廃したロサンゼルスを舞台に、ジャンキー、退役兵士、殺人者、警官、狼男、動物園のゴリラなどを主人公に据え、どうしようもなく閉塞した空しい日常を、辛辣に、あるいはシニカルに描き出し続けた人で、そうした知的な毒と屈折したユーモア感覚ゆえ、英米ではノヴェルティ系のアーティストとして扱われたりすることもあるようだけれど。この人の場合、本領を発揮したときの“深さ”とか“鋭さ”とかは並じゃない。

そんな才能を本格的に発揮するきっかけとなった本盤。デモ、別テイク、ライヴ音源を大量投下したデラックス・エディションでの再発だ。興味深いレア音源だらけ。リマスターもよいです。74年に録音された「カルメリータ」では、公式リリース・ヴァージョンでは歌われていない未出のパートも聞けます。すげえ…。

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