Disc Review

Johnny Cash At Folsom Prison (Legacy Edition) / Johnny Cash (Columbia/Legacy)

ジョニー・キャッシュ・アット・フォルサム・プリズン(レガシー・エディション)/ジョニー・キャッシュ

サン・クエンティン刑務所でのライヴ完全版に続いて、必殺のフォルサム刑務所でのライヴ完全版も登場。2CD+DVDのロングボックス仕様。68年1月13日、当刑務所の囚人を前に行われた昼・夜2回のパフォーマンスを完全収録している。当然、未発表音源だらけ。サン・クエンティンの完全版同様、ツアー・メンバーとして同行していたカール・パーキンスやスタットラー・ブラザーズの未発表パフォーマンスもたっぷり聞くことができる。

そうそう。CRTのジョニー・キャッシュ・ナイトのときに取材記者によるプライベート音源を使って検証した、ジョニー・キャッシュ登場前の“前説”も、ついにいい音でオフィシャル・リリースされました(笑)。オリジナル盤で聞かれる、“ハロー・アイム・ジョニー・キャッシュ”という冒頭のMCの不敵さや、それに応じる囚人たちの“うぎゃ~っ!”という歓声が、この前説を受けてのヤラセだったということを知ったときは、あ、まあ、考えてみりゃそうだよな…と思ったものの、複雑な気分を抱いたのは事実。それがオフィシャルな形で世に出てしまったわけで。伝説の崩壊ではありますが。コンサートの全貌がとうとう明らかになったという、この快挙と引き替えだから。OKです。

いずれにせよ、カントリー畑の大御所ながら、やばさにかけてはどんなロッカーもラッパーもかなわないジョニー・キャッシュの凄味は今回のボックスからも存分に伝わってくる。“俺は男を撃った。そいつが死ぬところを見るために”という自作曲「フォルサム・プリズン・ブルース」を当のフォルサム刑務所で不敵に歌い、観客である囚人たちが大歓声をあげる。と思えば、そうした犯罪者の曲と分け隔てなく、神への深い思いを淡々と歌い綴る敬虔なゴスペルが披露される。アメリカの深さを思い知る歴史的瞬間の記録だ。

DVDには90分もののドキュメンタリーを収録。時間がなくてまだ見てません。これも楽しみ。いつ見られるかなぁ…。

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