Disc Review

Eric Quincy Tate / Eric Quincy Tate (Rhino Handmade)

エリック・クインシー・テイト/エリック・クインシー・テイト

みなさんもそうだと思うけれど。年末に向けて、なーんかスケジュールが、くっ、と詰まっちゃってて。全然落ち着かない日々。いろいろなところで年間ベストみたいなやつを選ばなければいけない時期でもあって。振り返りモードに入ってはいるものの。トシとるにつれて時が流れる体感スピードがどんどん速くなるのと、一方、物忘れも速くなっているのと、両方ががっつり合わさっちゃって。今年がどんな年だったか、まるで思い出せないという悲惨な有様(笑)。

ずーっと原稿書いて、打ち合わせして、あれこれ番組に出たりしてる感じ。そこに『24』シーズンVのボックス発売がぶつかって。あわわわ(笑)。そういや、12月になるとデジタルラジオも始まります。週に1度、2時間番組を担当することになりました。受信機は12月8日になるまで出ないし、しかもケータイだし、東京と大阪、それも限られた地域のみにしか届かないみたいだし、まあ、一般的にはやっていないも同然の放送になるわけですが。

今、他にやっているスターデジオにせよ、有線にせよ、あるいはCRTあたりも含めて、なかなか一般のリスナーの方に届かないメディアでばっかり番組やってる感じ(笑)。申し訳ない気持ちもありつつ。でも、こればっかりはぼくのほうでコントロールできる問題でもないので。むしろ、誰が聞いてくれているのか、今ひとつイメージしにくい状態で番組作りをしているぶん、だったら自分が思いきり楽しめる内容にしよう、と。マニアックな気合いに火がつきますな。

ま、とにかく慌ただしい、と。師も走る、と。そういうわけです。そうだ。先日タモリさんとポール・モーリアの追悼もしたりしました。そのうち放送されると思います。と、そんな中、とてつもない衝撃がやってきましたよ。ライノ・ハンドメイドから(笑)。なーんと、エリック・クインシー・テイトの再発! 個人名じゃないっすよ。熱烈な南部ロック・ファンにはおなじみ、サウス・テキサス出身の4人組バンド。彼らが、70年にリリースしたデビュー・アルバムが5000枚限定で再発された。すごい。名盤探検隊も見過ごしていた隠れた傑作です。

見出したのはフィル・ウォルデン。プロデュースはトニー・ジョー・ホワイト、ジェリー・ウェクスラー、トム・ダウド。オールマン・ブラザーズ・バンドあたりと束になって話題になってもよかったはずなのに、セールス的には今いち空振りで。正直、ぼくもそのころは彼らの存在すら知らなかった。初めてこのアルバムのアナログLPを手にしたのは、75年ぐらいになってからだったと思う。もちろんカット盤。72年、ポール・ホーンズビーのプロデュースで制作されたセカンド・アルバムがキャプリコーンからリリースされていて。それと一緒に後追い購入した覚えがある。で、グラインダー・スウィッチやウェット・ウィリーあたりとともに、けっこう愛聴した。

いわゆるサザン・ロックものに比べると、ぐっとR&B寄り。ホーン・セクションなどもバックに配し、ファンキーに、タイトに、メロウに、アップテンポものからバラードまで聞かせてくれる1枚だ。トニー・ジョー・ホワイトの関与が物を言っているのだろう。今回はデモとか、未発表曲とかも多数ボーナス収録。盛り上がる。

この人たち、76年だったか、GRCレコードからもう1枚出しているけれど。その後のことはよくわからない。中心メンバー、トミー・カーライルのソロが70年代末に出ていて。チップス・モーマンがプロデュースしていたはずだけど、ぼくは未聴。再発とかされてるのかな。されてないか。

このくらいの案配の盤が再発されるのが、いちばんうれしいっすね。

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