Disc Review

The Journals / Sammy Brue (Bloodshot Records)

ザ・ジャーナルズ/サミー・ブルー

ジャスティン・タウンズ・アールが不慮のオーヴァードウズで亡くなって5年余。38歳だったんだよなぁ…。

つい先日、ローリング・ストーン誌のジョナサン・バーンスタインによる公認バイオグラフィー『What Do You Do When You're Lonesome: The Authorized Biography of Justin Townes Earle』が出たばかりだけれど。

続いてもうひとつ、興味深いアルバムが出ました。それが本作『ザ・ジャーナルズ』。本人が生前に書きためていた日記を題材にして、友人というか、弟子筋にあたる後輩シンガー・ソングライター、サミー・ブルーが再構築した1枚。奥さま、ジェン・マリーの公認も得て制作されたものらしい。

サミーにとってジャスティンは憧れの存在で。12〜13歳だったころ、ユタ州のフォーク・クラブにやってきたジャスティンにサインをもらおうと待っていたときに知り合って意気投合。以来、師弟関係のような感じで付き合いが続いたのだとか。

で、没後、サミーはジャスティンの個人的な日記をジェン・マリーから託されて。そこに満載されていた歌詞とか、未完成のさまざまな断片、アイディアをもとに本作を作り上げた、と。生前にジャスティンとサミーふたりで共作した曲あり、ジャスティンが書き残した歌詞による曲あり、ジャスティンがまとめきれずにいたアイディアをサミーが完成へと導いた曲あり、サミー単独でジャスティンに捧げた曲あり。

悲しい記録ではあるのだけれど、同時にソングライターとしてのジャスティン・タウンズ・アールの才能をいろいろな切り口から称える仕上がりでもある。基本、アコースティック・ギターの弾き語り。オープニングの「ロンリー・モーニングズ」からフォークの伝統をきっちり受け継いだ感じで、一気に惹きつけられる。この曲はジャスティンの没後、2024年に発掘リリースされた未発表音源集にも入っていたけれど、それとはまたひと味違って。サミーはジャスティンの世界観をきっちり継承しつつも、サミー・ブルーという次なる世代のシンガー・ソングライターとしての個性もちゃんと活かしながら再構築してみせる。

ジャスティンの繊細さが歌詞からじわじわ伝わってくる「ラヴ・アット・ア・グランス」とか、サミーのスリー・フィンガーがしみる「プロミス・トゥ・キープ」とかも沁みた。「オールダー・ザン・アイ・エヴァー・ソート・アイド・ビー」という曲は、“自分が思っていたよりもずっと年を取ってしまった”というタイトルからして、若くしてこの世を去ったジャスティンのことを思うと、胸にくる曲。

そして、ラスト。「ロード、アイム・レディ・ナウ」という、“神さま、準備はできました”というタイトルの曲で締め。“神さま、準備はできました。今すぐ私を連れて行ってください”というリフレインを生前書き残していたのかと思うと、ジャスティン・タウンズ・アールというアーティストが抱えていたのであろう孤独感がひしひしと、切なく伝わってきて。

アルバム中唯一のサミーの単独書き下ろし曲「フォー・ジャスティン」の一節、“でも、あなたに聞くことができればよかったと思う/なぜあなたはいつも心の奥底に痛みを抱えていたのかを…”というフレーズに涙、です。

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