Disc Review

No Rain, No Flowers / The Black Keys (Easy Eye Sound/Warner)

ノー・レイン、ノー・フラワーズ/ザ・ブラック・キーズ

なんか事情はよくわからないのだけれど。ブラック・キーズは去年、マネージメントとの間でとんでもないいざこざがあったようで。そのごたごたを払拭する勢いで制作に集中した新作なのだとか。

それゆえか、あえてサウンド的に大きく路線を変更したような1枚。スタジオ・アルバム13作目です。

2022年の『ドロップアウト・ブギー』にはZZトップのビリー・ギボンズ、レイニング・サウンドのグレッグ・カートライト、シエラ・フェレルらをレコーディングに迎えていたり、去年の『オハイオ・プレイヤーズ』にはベック、ノエル・ギャラガー、グレッグ・カースティンらを迎えていたり。キーズの近作には興味深い顔ぶれが客演していたけれど。

今回は演者ではなく、ソングライター陣に興味深い顔ぶれを迎えた仕上がり。基本、ダン・アワーバックとパトリック・カーニーが全曲書いているのだけれど、ソングライティング・パートナーにリック・ノウェルズ、ダニエル・タシアン、スコット・ストーチ、デズモンド・チャイルド、リオン・マイケルズ、トミー・ブレネック、パット・マクラクリンら超ジャンルの売れっ子たちを迎えて、ぐっと幅広い音楽性にアプローチした1枚に仕上がっている。

もちろんプロデュースはキーズのふたり。レコーディングはいつものようにナッシュヴィルのイージー・アイ・サウンドで。

聞きながら、ぼくの中には、かつてのブラック・キーズの今様ブルース・ロック/ガレージ・ロック味の薄まり具合というか、喪失具合を寂しく思う気持ちと、ぐっと親しみやすさを増したポップでちょっぴりソウルっぽくてカラフルなアプローチを歓迎する気持ちと、両者が交錯しております。

前作同様、ダンとパットが自分の好きな45回転シングル盤をかけまくるDJパーティ的なものとしてとらえればいいのかもしれないけれど。このテイストが今後のブラック・キーズ・サウンドになっていくのかどうか、ちょっと気にはなります。今回は参加していないけれど、曲によっては前作に客演して大きな影響を与えていたベック的なポップ感覚を炸裂させた1枚ととらえることもできそう。

さて、ブラック・キーズ。今後、ベック先輩みたいな感じで、うまいことあっち行ったりこっち行ったりしながら独自のルーツ感覚を表出し続けてくれるのか。あるいは、こっち方面に思いきり振れていってしまうのか。ドキドキです。やっぱ、目が離せないなぁ。

【追伸】
世の中、お盆休みだそうで。本ブログもしばし夏休みいただきますね。再開は来週とか、テキトーな時期に(笑)。そのときはまたよろしく。

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