Disc Review

Real Thing / Drugdealer & Weyes Blood (Mexican Summer)

リアル・シング/ドラッグディーラー&ワイズ・ブラッド

昨夜、サザン・オールスターズの最新ツアー“Thank You So Much”の千秋楽、東京ドーム公演、楽しんできましたー。

けっこう往年のマニアックなレパートリーも含むセットリストで。オープニングいきなり「逢いたさ見たさ 病める My Mind」ってのもぶっとんだし、中盤、「海」のイントロが流れてきたときとかも“うおっ…!”とのけぞったし、「別れ話は最後に」のアコースティック・ヴァージョンとかにもしびれたし。

でもこれ、ツアー・タイトルも含めてあくまでも最新アルバムのリリースに合わせたコンサートって感じで。『Thank You So Much』収録曲もふんだんに披露。10曲以上やってたな。にもかかわらず、ライヴ全体の印象はちゃんとサザンのデビュー以来半世紀近い歴史が詰まっている感じがして。やー、なんだかすごかった。

まあ、『Thank You So Much』には、半世紀くらい前に作られながらその後ずっとお蔵入りしていた伝説の「悲しみはブギの彼方に」がついに初収録されていたりして。あのアルバム自体がサザンの長い歩みを連環させたような手触りがあったのも事実だけれど。それにしても新旧レパートリーが無理なく溶け合っている印象で。

もちろん、それはデビュー以来半世紀近く、ずっとすごい曲ばっかり作り続けてきたサザン/桑田の底力あってこその離れ業。そんな自信と才能と音楽に対する熱い思いみたいなものもぐいぐい伝わってくる、実に現役バンドっぽいパフォーマンスではありました。

このサブスク時代、新しい曲とか古い曲とか、大ヒット曲とかマニアックな曲とか、そういう区別の仕方ってわりとどうでもいいというか。意味がないというか。そんなことを改めて思い知らせてもらった夜。鋭い社会的メッセージもきっちり響いてきたし。泣けました。

ただ、思いきり楽しかったことを前提に、デビュー前から彼らを見てきた古〜いファンの口うるささをちょこっとだけ発揮させてもらうと。いつものことながら、なんかコンサート全体がバラエティっぽすぎるというか。カメラ割りとか、ダンサーとか、そこまで必要? もうちょっと普通にナチュラルなロック・コンサートみたいなものを見せてもらえないかなぁ…とか思っちゃったりするのも事実。

まあ、もはや国民みんなのものとなったビッグ・スター、サザンに、そんなかつて“異端”だった時期の感触を今さら求めても仕方ないか(笑)。すみません。

と、そんな幸せな余韻のもとで目覚めた朝。

せっかくなので、サザンとはまったく関係ない曲ではありますが、軽くニュー・リリースから1曲紹介しておきますね。“ドラッグディーラー”ことマイケル・コリンズと“ワイズ・ブラッド”ことナタリー・マーリングのコラボレーション新曲。

2016年の「サドンリー」、2019年の「ハニー」に続く3度目のコラボですが。プロデュースはマイケル・コリンズと、パリのプロデューサー/ソングライター、マックス・ベイビー。曲はマイケルさんが考えたコード進行を受け取ったナタリーさんが作ったものみたい。1970年代のサウンドと、現代のアート・ポップ感覚との幸福な共存というか。ここにも新しいとか古いとか、そんな価値観、どうでもいいって感触が満載されていて。楽しいです。今んとこストリーミングのみかな?

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