Disc Review

Still Barking / Bonzo Dog Doo-Dah Band (Madfish Records)

スティル・バーキング/ボンゾ・ドッグ・ドゥー・ダー・バンド

ブログの毎日更新をお休みして、あれこれ原稿執筆、地道に続けているんですが。進まないねー(笑)。思ったようにはいきません。想定ペースの半分くらいかな。昔に比べるとだいぶスピード落ちました。トシだから、仕方ない。

でも、そんな中でもすんごいボックスとか出ちゃって。ようやく全編聞くことができたもんで。みなさんと分かち合いたい気持ちになって。突然の不定期更新、させていただきますね。

ボンゾ・ドッグ・バンド! 正しくはボンゾ・ドッグ・ドゥー・ダー・バンド? ご存じヴィヴィアン・スタンシャルやニール・イネスらが在籍していた、“裏ビートルズ”との誉れも高きシニカルでブラックでクールでクレイジーなポップ・バンドですが。

そんなボンゾズのアンソロジーというと1992年に出た3枚組『コーノロジー』(のちの『ア・ドッグズ・ライフ』)あたりがこれまで決定版だったけど。

もっとすごいの、出ました。17CD+3DVD! 20枚組という、とてつもないボリュームの“全部乗せ”限定ボックス! バンドの全面協力の下、構想〜制作に7年かかったプロジェクトだとか。プロジェクトのスタート時点では健在だったニール・イネスが、しかし本ボックスの完成を待たず、2019年に亡くなってしまって。残念でなりません。

CD1が1967年のファースト・アルバム『ゴリラ』のモノラル盤、最新リマスター。CD2がそのステレオ盤。CD3が1968年の『おばあちゃんの温室のドーナツ(The Doughnut in Granny's Greenhouse)』のモノ盤。CD4がそのステレオ盤。CD5が1969年の『タッドポールズ』。CD6がオリジナル活動期のラスト・アルバム、1969年の『ケインシャム』。CD7が1972年の再結成盤『仲良き事は美しき哉(Let's Make Up and Be Friendly)』。

CD8が全シングルを新たにリマスターした『ザ・シングルズ』。CD9と10が『デモズ&アウトテイクス』。CD11が1971年のザ・マナー・スタジオでのリハーサル音源と、1967年のマーキー・クラブでのライヴ音源。CD12がバッキング・トラック集。CD13、14、15が1967〜69年のBBCセッション集。CD16が1969年、アムステルダムでのライヴ2種。CD17がやはり1969年のニューヨーク、フィルモア・イーストでのライヴ。で、DVD3枚には彼らがハウス・バンドを努めていた伝説の『Don'Not Adjust Your Set』など、もろもろのテレビ出演時の映像とか、ショート・フィルムとかを満載。さすがに『マジカル・ミステリー・ツアー』出演時のものは入っていないけれど、いやいやいやいや、大丈夫。十分。おなかいっぱいです。

148ページのハードカヴァー・ブックレットには詳細なライナーやら年表やらコメントやらレア写真やらがびっしり。ポスターとかプレスリリースとかポートレートとかのレプリカもあれこれ。すごいわ、これ。

ぼくが初めて手に入れたボンゾ・ドッグ・ドゥー・ダー・バンドのアルバムは『ケインシャム』で。しかもオリジナル・リリースからずいぶん遅れた1975年くらいのこと。新宿かどこかの輸入盤バーゲンで買ったんだっけなー。

で、聞いてみたら、なんだか落ち着きなく多彩な音楽性を行き来しつつ、でも、そんな中、じんわり漂うノスタルジーみたいなものがやけに印象的で。変なやつら…と興味を抱いて、そこからアルバムをひとつ遡り、今度は『タッドポールズ』を手に入れて。

まあ、あとでいろいろ事情を探ってみると、ポール・マッカートニー絡みのシングル「恋のスペースマン(I’m the Urban Spaceman)」が思わぬ大ヒットになったことで、急遽、『Don'Not Adjust Your Set』などで披露していた楽曲の再録音や過去音源などをかき集めつつ制作された急造アルバムだったらしく。メンバー自身、公式なサード・アルバムとは認めていない、認めたがっていない、という噂もあったりして。

でも、結果的にそうした雑多な寄せ集め感がやけに魅力的というか。それもまたボンゾズの魅力というか。お気楽なエキゾチシズムを発散する「ハンティング・タイガーズ・アウト・イン・インディア」とか「アリババズ・キャメル」とか、ジャジーでノスタルジックな「チューバス・イン・ザ・ムーンライト」とか「バイ・ア・ウォーターフォール」とか、ザッパっぽさも感じる「シャツ」とか、毒と甘さ、マジと不マジメ、様々な要素が絶妙に交錯してて大好きだったなー。

ちょうどそのころ、ぼくは個人的にダン・ヒックスとかマーティン・マルとかタイニー・ティムとか、歪んだノスタルジア音楽が大好きで。そういう意味でも『タッドポールズ』はばっちり。思い切り楽しんだ覚えがある。中心メンバー、ヴィヴィアン・スタンシャルとニール・イネスという才能にノックアウトされたものです。

当時のこと思い出しつつ、このボックス聞きながら改めて原稿執筆、楽しく続けまーす。

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