Disc Review

Radio Daze & Glamping / Roger Joseph Manning Jr. (Omnivore Recordings)

レディオ・デイズ&グランピング/ロジャー・ジョセフ・マニング・ジュニア

おー、ロジャー・マニング! 新作じゃないですかー。

ティム・スミスとエリック・ドーヴァーと組んだリカリッシュ・カルテットの盤が間に挟まっていたけれど、ソロ名義のフル・アルバムとなると2008年の『キャットニップ・ダイナマイト』以来。

とはいえ、まあ、2018年にはEP『グランピング』をまず4曲入りで自主リリースしていて。数年後、過去ソロ・アルバムの収録曲も含む3曲のライヴ音源をボーナス追加した盤も出して。しかし、それが思いきり入手しづらかったこともあり、今回オムニヴォア・レコーディングズと契約してリリースされた本フル・アルバム、実は半分がその『グランピング』のボーナス入り7曲エディションだったりする。CDの中盤、5曲目の「オペレイター」から11曲目の「クリープル・ピープル」のライヴ・ヴァージョンまでが、曲順も含めて『グランピング』そのまま。半分、再発。

で、残る半分のうち、1曲目から4曲目が新録のスタジオ音源で。12曲目から14曲目が過去アルバム収録曲の新たなライヴ音源。および15曲目と16曲目が新録スタジオ音源のインストゥルメンタル・ヴァージョン…という内訳。つまり、『グランピング』ボーナス・エディションの全7曲を新録スタジオ音源4曲と新たなボーナス5曲で挟み込んだ形だ。

ちょっと不本意なリリースとなってしまった『グランピング』に改めて脚光を当てたいという思いと、新作を聞いてもらいたいという気持ちとを両立させつつ、さらなるボーナスも追加した盛りだくさんの1枚ということか。CDおよびデジタル・リリースはその16曲入り。ヴァイナルLPは新旧スタジオ録音4曲ずつをAB面に収めた全8曲入りだ。

『グランピング』をすでにゲットずみの人にはなんとも悩ましいところではあるけれど、しかし、新録の4曲がいいから。『グランピング』もよかったけど、それ以上にいい仕上がり。『グランピング』同様、数年前エミット・ローズを蘇らせてくれたクリス・プライスも曲作りで協力してます。

ブリティッシュ・ポップ、グラム・ロック、サンシャイン・ポップ、ハーモニー・ポップ、パワー・ポップなど、とにかくどの曲にも黄金のポップ・イディオムが満載。その種の音楽に対するただならぬ造詣の深さを活かしまくった一筋縄にはいかないセンスが炸裂していて。ポップ音楽が幸福だった時代の感触をこの21世紀にいきいき受け継いでくれるロジャー・マニングは、ほんとぼくのような世代のリスナーにとって頼もしい存在なのでした。

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