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Disc Review

Natural Beauty / Mo Troper (Tender Loving Empire)

ナチュラル・ビューティ/モー・トローパー

先日、能地祐子もツイッターでつぶやいていたけど。

新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受けて日本テレビは、“観覧客および出演者の平均年齢層が高齢であることなどを考慮して”『笑点』の公開収録を当面の間、とりやめる、と。

出演者も観客も高齢…って。ボブ・ディランのことかと思った(笑)。

てことは、ディランの来日、これ、完全にアウト? まいったなぁ。もちろん、まだ現段階では何も発表されていないので早合点は禁物とはいえ。数日前のエントリーでも書いた通り、相変わらず心配は心配だ。先行予約の日にがんばっていい整理番号ゲットしたのになぁ。そんなこと言ってる場合じゃないとは思うけれど。同じ不安を抱えていらっしゃる方も少なくないと思う。

いいとか悪いとかいう話ではなく、こうも自粛/中止/延期がデフォルトになってくると、音楽界のみならず、体力ないところは確実に持ちこたえられなくなる。ウイルスも怖いけど、そっちも怖い。国が多少でも補償してくれるようであればまだましだろうけど、そんな気配はないし。お上から具体的な施策など何ひとつなく、シモジモに責任を丸投げして時間稼ぎしてるようにしか見えない状況だけに、不安は尽きない。

繰り返しになるけれど、ちゃんとご飯を食べて、適度に運動して、よく寝て、きちんと手洗いして、うがいして、よく笑って、いい音楽聞いて、免疫力を低下させないよう、お互い気をつけましょう。てことで、本日のいい音楽。オレゴン州ポートランドを本拠に活動するパワー・ポッパー、モー・トローパーの新作です。

またまたバンドキャンプで出くわした個性。なんでも、ロサンゼルスとかニューヨークとかにも拠点を置いていた時期もあったようだけれど、そこではなかなかうまくいかず、故郷に戻って心機一転…みたいな感じらしい。インディ・ロック系の情報に長けている方々の間では数年前から名前が挙がっていたみたい。ぼくは今回が初聞きだった。2016年に『ビラヴド』、2017年の『エクスポウジャー&レスポンス』ってアルバムをそれぞれ出していて。今回出たニュー・アルバム『ナチュラル・ビューティ』が3作目だとか。

で、その新作に収められた「イン・ラヴ・ウィズ・エヴリワン」って曲で、モー・トローパーくん、こんなこと歌っている。

“君がぼくをカラオケに連れて行ってくれたね/あれがぼくにとって初カラオケ/君は「1963年12月 (あのすばらしき夜)」を歌ったっけ/ぼくは君の瞳を見つめて/すぐ恋に落ちたことを知った…”

フォー・シーズンズの、しかも1970年代のヒット曲名を織り込んだ、微妙にマニアックな設定に耳がそばだつ。こういうディテールに共鳴できるかどうか、パワー・ポップ系のアーティストに接する場合はそのあたりが特に大きかったりするのだけれど。そういう意味では、「1963年12月 (あのすばらしき夜)」を、ちゃんと“December, 1963 (Oh, What a Night) ”と副題まできっちり持ち出してきて歌っているところで、ぼくにとってモー・トローパーは、もう、ばっちりです(笑)。

アルバム冒頭に入っている「アイ・イート」という曲もいかれている。曲はすごくメロディアスでゴージャス。なのに、歌詞が変。“退屈だから、ぼくは食べる/もっと何かないか、飢えている”とか“ぼくの肥大した自我が絞首台から落下していく”とか、なんだかイメージがぶっとんでいる。

他にも、ジャングリーなギターがたまらない「ユア・ボーイ」、ポップ・ファンのツボを刺激しまくる切ないメロディ満載の「ユア・ニュー・フレンド」、アカペラ・コーラスが泣ける「エヴリシング」、インターネット時代の遠距離恋愛をシニカルに切り取った「ジャス・フロム・オーストラリア」など、とびきりポップなのだけれど、そこに失われた愛とか、報われない愛とか、そういうテーマを匂わせた歌詞が組み合わされた楽曲が並んでいて。

“どんな愛も、誰かが孤独を感じながら終わっていくんだ…”とか歌う「オールモスト・フル・コントロール」も、ぐっときた。まだまだ様々な意味で粗削りではあるものの、ソングライターとしての可能性にも胸が高鳴る。ラスト2曲はどちらも5分台ながら、残りは軒並み1分半から2分半くらいの長さ。潔いまでのコンパクトさがまたポップス・ファンの心をくすぐります。

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© 2020 Kenta Hagiwara