ドント・ルーズ・ジス/ポップス・ステイプルズ
ステイプル・シンガーズの要であり、最高のギタリストである故ローバック“ポップス”ステイプルズの遺作。亡くなる前年、1999年に録音した未完の音源の発掘リリースだ。
未完だけに、ポップス・ステイプルズの他界直前、その音源を託された娘のメイヴィス・ステイプルズもどういう形でリリースすればいいか、あれこれ悩んでいたのだとか。そんな中で現れたのが、2010年と2013年に彼女のアルバム・プロデュースを手がけて素晴らしい成果を上げたウィルコのジェフ・トウィーディ。ジェフの手腕を信頼したメイヴィスは、彼のもとにこのテープを持ち込み、ついに完成へと導いた。
ジェフがベース、息子のスペンサーがドラム、そしてメイヴィスが新たに歌声をオーヴァーダビング。といってもよけいなダビングはいっさい排されている感じの的確な仕上がりだ。あくまでも主役はポップス・ステイプルズ。ポップスの歌声ももちろんいいけど、なでるように弾いているのに深くファンキーな味わいがにじみ出すギターがたまらない。
メイキングのショート・ビデオがあって。そこでもちらっと聞くことができる「スウィート・ホーム」って曲はポップスの歌とギター、メイヴィスのコーラスだけで展開する。これが特にかっこよくて、やばいです。しびれます。