レス・ポールの伝説〜チェイシング・サウンド
お久しぶりです(笑)。
仕事の量が特に増えているわけではなくて。むしろセーブしているつもりなのだけれど、年齢とともに処理スピードが落ちているのか、なーんか忙しいです。まあ、そのぶん日々楽しい、と。そう思って過ごしてます。
今日も楽しかったなぁ。7月21日のCRT夏まつりに向けてのミーティング。夏まつりのメインは鈴木慶一さんと上野洋子さんによるスペシャル・ユニットのアコースティック・ライヴで。普段の慶一さんたちのライヴとはひと味違う、トラッド風味も漂ういかしたものになりそう。慶一さんにはソロで、えー、あの名バラードをぜひ歌ってほしいと要望してるんだけど、どうかなぁ…。歌ってくれるかなぁ。歌ってくれたら、ものすごくうれしい。以前、健'zとして共演させてもらった新宿ロフトでのライヴで、慶一さんがソロでその曲を歌ったんだけど。そのときのパフォーマンスがものすごくクールで。かっこよくて。忘れられません。上野さんのアプローチも楽しみだし。盛り上がってきました。
まあ、それはそれとして。本日のミーティングは、そのスペシャル・ユニットとおそれおおくも対バンさせていただく“歌舞伎町楽器フェアーズ”(笑)のほう。青山陽一、中森泰弘、木暮晋也、そして不肖ワタクシ。このメンバーでどんな曲をやろうか、と。高校のギター同好会のような会議をワイワイやってきました。中森、木暮をフィーチャーして、なんとロッテンハッツ時代の懐かしのレパートリーも披露できるかも。一緒に演奏できるかと思うと、わくわくです。左の情報欄を参照のうえ、みなさん、ぜひ夏まつりに参加してくださいね。
もうひとつ。最近楽しんでいる仕事としては、レス・ポールのこれまでの活動を振り返った映像ドキュメンタリー『レス・ポールの伝説 (Les Paul: Chasing Sound)』周辺のもろもろ。字幕の監修とか、登場してくる人物やアイテムの解説などをさせてもらうことになっていて。まだぼくの作業は出来上がっていないので、晴れ晴れと語ることはできないのだけれど。現在93歳。グラミー賞受賞5回。今なお月曜日の夜、ニューヨークのクラブ“イリジウム”にレギュラー出演して、ばりばり珠玉のパフォーマンスを展開している超ベテラン・ギタリスト、レス・ポールさんの偉業を再確認するには絶好の映像作品。本人はもちろん、キース・リチャーズ、ジェフ・ベック、ポール・マッカートニー、B.B.キング、スティーヴ・ミラー、ボニー・レイット、エディ・ヴァン・ヘイレン、リチャード・カーペンター、ケイ・スター、トニー・ベネット、マール・ハガード、アル・シュミット、フィル・ラモーンら、実に興味深い面々が入れ替わり立ち替わりレス・ポールさんの魅力を語り上げる。
本人の名前を冠したソリッド・ボディ・ギター製作の裏話はもちろん、カントリーからジャズへと転身した時期のこととか、マルチ・トラック・レコーディングのパイオニアとしての苦労話や、ヒットを連発し続けることのプレッシャーや、様々なドラマが綴られる。ギター好きなら絶対にチェックしたい作品。歌舞伎町楽器フェアーズのミーティングでも「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」やろうか、みたいな意見が出たりしました。これは、んー、無理かな(笑)。テクニック的に。日本では8月以降、ロードショー公開だとか。待ちきれないって方は、すでにアメリカではDVD化されているので、ぜひチェックしてみてください。上に紹介したのがそのパッケージです。でも、リージョン1です。今回の更新、あんまり有益じゃないっすね。すんません。
1999年にブライアン・ウィルソンの初ソロ・ツアーを見にニューヨークへ行ったとき、たまたま月曜日の夜が空いていたので能地と一緒にイリジウムへ足を運んだことがある。イリジウムはもう移転したみたいだけど、当時はまだコロンバス・サークルのあたりにあって。なんと、当夜はレス・ポールの誕生日。カサンドラ・ウィルソンがバンドと一緒にゲスト出演したり、いろいろと盛りだくさんの夜だった。レス・ポールさんのプレイもごきげんだった。ベーシストがソロをとっている間じゅう、目の前のお客さんとくっだらない会話を交わしてげらげら笑って。しばらくしてから、ずっとソロを弾き続けていたベーシストのほうを向いて“あ、まだ弾いてたのか!”とびっくりする、みたいなおきまりのギャグも炸裂。下ネタも連発。と思ったら、“もう眠くなったから帰る”みたいな感じで(笑)。そのころすでに80歳を超えていたわけで。今回を逃したらもう見ることができないかも…とイリジウムに出かけた我々だったけれど。今回の『レス・ポールの伝説』を見ると、10年を経た今もなお、当時と何ひとつ変わらずにレス・ポールさんは大好きなギターをひょうひょうとプレイし続けているのだった。
すごいじいさんっすよ。
そういえば、マイルス・デイヴィスがレス・ポールに“どうすればヒットが出せるだろう”と質問したことがあるってエピソードも披露されていて。そのときレス・ポールは“メロディを吹け”って答えたらしい。すごいね。楽曲のメロディを普通に淡々と綴るだけで聞き手を泣かすことができるのが本物のプレイヤーなのかも。その境地、演奏に限らず、きっとあるんだと思う。俺が俺が…って煩悩を捨て去れる強さ、ね。トシをとるにつれ、その凄みが身に染みてわかるようになってきた、かな。
日々精進ですな。