Disc Review

My Home Is Not In This World / Natalie Bergman (Third Man Records)

マイ・ホーム・イズ・ノット・イン・ジス・ワールド/ナタリー・バーグマン

ナタリー・バーグマンの新作ソロ、久々に出ました。お兄さんのエリオットと組んだワイルド・ベルでのハイパーさとエスニック風味とルーツ感覚とが渾然と共存するオルタナっぽい手触りとも、喪失感と祈りが交錯する前ソロ作『マーシー』の沈静したゴスペル・ソウルっぽい感触ともひと味違う、この人なりにポップな1枚に仕上がっている。

前作は交通事故で親を亡くした後の悲しみと喪失感の中で制作されたもので、それを2021年にリリースして以降、ナタリーさん、まったく曲を書いたりすることができなくなっていたようなのだけれど。去年、息子さんを出産したとかで。それを受け、ポジティヴな思いの下、また新しい一歩を…みたいな?

これまでもナタリーさんの作品には往年のソウル、フォーク、カントリーの要素が混在していたけれど、そのテイストは本作でも変わらず。ただ、これまで以上にソウルからの影響が色濃いかも。モータウン、スタックス、あるいは一連の1960年代ガール・グループ的なアプローチがどの曲からも匂い立っている感じ。

といっても、その醸し方、配合具合はなかなか巧みで。もろにレトロ・ソウル方面へと振れるのではなく、たとえばかつてフライング・ブリトー・ブラザーズがアレサ・フランクリンやジェイムス・カーの曲をカヴァーしたときのような、コズミック・カントリー・ソウル味というか。透明感に満ちたザ・バンドというか(笑)。ベックにも通じる再構築感というか。そんな不思議な超ジャンル感覚があって。妙に惹きつけられる。

もちろん、ラストを締める「カリフォルニア」って曲とかには前作から引き続きの、どこかカーティス・メイフィールドあたりを想起させるゴスペル・ソウル感覚も漂っていて。

なかなかに油断のならない人です。

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前回もお知らせした近々のイベントの予定など、ここにも再掲しておきます。お時間合うところ、ご興味あるところ、ありましたらぜひお運びください。よろしくお願いします。

■7月29日が朝日カルチャーセンターでノージくんとともにボブ・ディラン講座

■8月4日はRITTOR BASEでサラウンド試聴イベント

■8月21日には池袋・新文芸坐で映画『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』上映後のトーク・イベント

■8月22日がCRTスティーリー・ダンまつり

■9月6日は湯浅学を迎えて早稲田大学エクステンションセンターで洋邦ノヴェルティ・ソング大特集…。

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