Disc Review

The Knowing / Sean Nicholas Savage (Born Losers Records/Mansions & Millions)

ザ・ノウイング/ショーン・ニコラス・サヴェージ

英ロンドン生まれ、カナダ本拠で活躍する劇作家、映画監督、シンガー・ソングライターのショーン・ニコラス・サヴェージ。

けっこう多作な人で、ぼくはあまり細かく追いかけてはいないのだけれど、もう15作くらいはCDとかカセットとかでソロ・アルバム出しているんじゃないかな。ご存じの通り、この人、山下達郎ファンとしても知られていて。もろにそういうリズム・アレンジやメロディ感覚が発揮された曲とか、以前からけっこう気になってはいた。

最近では2020年、ピアノをバックにじっくり歌い込んだ感じの『ライフ・イズ・クレイジー』とか、2022年、マック・デマルコがプロデュースした『シャイン』とか、印象に残っている。特に『シャイン』。ドラムレスのアコースティカルな1枚で。今どきのシンガー・ソングライター的な、ベッドルーム系アコースティック志向とはまたひと味違う、その一世代前の在り方、たとえばエリオット・スミスとかの感触を引き継ぐような佇まいにぐっときました。

で、その後、カセットで出ていた初期作品からセレクトしたベストLPとかを間に挟んでリリースされた新オリジナル・アルバムが本作、『ザ・ノウイング』。初期の打ち込みっぽいアプローチと、『シャイン』のアコースティカルな路線とがいい感じに融合した、より緻密で、よりきっちりアンサンブルされた感じの仕上がりです。

なんか、こう、伝わりにくそうな例えをしてみると、ティム・ムーアのファースト・アルバムを、ちょっとだけエレクトロっぽい感触と融合させた、みたいな? いい感じにミドル・オヴ・ザ・ロードな、シンガー・ソングライター系ポップものです。伝わらないか…(笑)。

かと思えば、同じくカナダの大先輩、レナード・コーエン的なニュアンスを感じさせる曲もあったりして。振り幅も刺激的。

パスカル・シェナールとサミュエル・ボーリューが共同プロデュース。ずっと在籍してきたArbutusレコードのレーベル・メイト、マーシーをはじめ、ベルギーのシンガー・ソングライター、デヴィッド・ヌンワミ、ベルリンを拠点とするJJウィール、やはりベルリン拠点のベター・パーソンことアダム・ビツコフスキ、ロンドンのアート・ポップ系のエクスプロなど多彩な顔ぶれが客演したり、演奏に参加したり、曲作りに協力したり…。

基本、サヴェージさんの自作曲だけれど。1曲、イギー・ポップの「ラスト・フォー・ライフ」のカヴァーというか、フォーク調に大幅リメイクして、歌詞も一部書き換えたみたいなヴァージョンが入っていて、これがまたいいアクセントになってます。

【追伸】明朝、早くからラジオ収録が入っちゃっている他、〆切り関係、大渋滞なもんで(笑)。またしばらく更新が不定期になっちゃうかも。あしからず。明日は確実に更新お休みです。

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