
ア・トリビュート・トゥ・ザ・キング・オヴ・ザディコ/ヴァリアス・アーティスツ
1987年、62歳という若さで腎臓病のために亡くなったクリフトン・シェニエ。言わずと知れたザディコ音楽を代表するアコーディオン奏者/ヴォーカリストですが。
1925年、ルイジアナ州生まれってことで。今年が生誕100周年。伝記が出版されたり、スミソニアン/フォークウェイズが編纂した渾身のボックスセットの11月発売が予定されていたり。盛り上がっておりますが。
そんな中、ルイジアナを拠点とするインディ・レーベル、ヴァルコア・レコードが豪華なトリビュート・アルバムをリリースしました。それが本作『ア・トリビュート・トゥ・ザ・キング・オヴ・ザディコ』。
集結したアーティストは、ローリング・ストーンズ、ネイサン・ウィリアムス、タジ・マハール、ルシンダ・ウィリアムス、スティーヴ・アール、ジョン・クリアリー、カム・フランクリン、シャノン・マクナリー、ジミー・ヴォーン、ジョン・ハイアット、マルシア・ボール、モリー・タトル、デヴィッド・ヒダルゴ、サニー・ランドレスなど。
彼ら、ロック、ブルース、カントリー、R&B系のアーティストたちが、ケイジャン・アコーディオン奏者のスティーブ・ライリーやキース・フランク、アンソニー・ドゥープシー、ロディ・ロメロ、カーリー・テイラー、そしてクリフトンの息子、C.J.シェニアらと躍動的な共演を果たしつつ、偉大な先達クリフトン・シェニエに最大のリスペクトを表現した賑やかな1枚だ。オーギー・メイヤーズとかスティーヴ・バーリンとかの名前もあり。
曲はクリフトン・シェニエのレパートリーばかり。ブルース・ハープ吹きながらクレオール系のフランス語でぐいぐい迫るミックと、2ビートでグルーヴするキースとロニーのギターがスティーヴ・ライリーのアコーディオンと組んずほぐれつ盛り上がる「ザディコ・ソン・パ・サレ」で幕開け。むちゃくちゃかっこいい。この曲をはじめ、大半がシェニエの自作曲だけれど、ここではトミー・マクレインとルシンダ・ウィリアムスのデュエットで歌われるカントリー曲「リリース・ミー」とか、スティーヴ・アールが歌うルイ・ジョーダン・ナンバー「エイント・ザット・ジャスト・ライク・ア・ウーマン」とか、シェニエがカヴァーしていた必殺レパートリーもセレクトされていて。
たまりません。暑いときには熱いお茶…的な感じで、夏のBGMに最適な1枚かも。これ聞きながら暑さを乗り越えて、秋のボックスセットを待つ、と。そんな感じかな。