Disc Review

Eyes (Expanded) / Tony Joe White (Swamp Records)

アイズ/トニー・ジョー・ホワイト

ぼくはトニー・ジョー・ホワイトという人が大好きで。

といっても、いきなり最初からこの人のレコードを買ったわけではなく。1960年代の終わりくらいは、音楽誌『ミュージック・ライフ』に載っていたテイチク・レコードの広告ページとかで名前をちらちら見ている程度で。ラジオの洋楽番組でもあんまりかからなかったので、ほぼスルー状態だったのだけれど。

1970年代に入ったばかりのころ、エルヴィス・プレスリーがライヴで歌っていた「ポーク・サラダ・アニー」とか、ブルック・ベントンがシングル・ヒットさせた「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」とか、そういう曲の作者だということを知って。がぜん興味を持ってトニー・ジョー本人のレコードを買った、と。そういう流れ。

そしたら、はっぴいえんどの『風街ろまん』に入っていた「颱風」って曲も、実はトニー・ジョー・ホワイトの強烈な影響下にある1曲だったことを知り。そんなふうにウネウネしながら米南部のスワンプ感覚みたいなものをじわじわ体験していくことになったわけですが。

なので、本ブログでもちょくちょくこの人の作品は取り上げているつもりだったのだけれど。検索かけてみたら、それほどでもなくて(笑)。初期のものとしてはライノ・ハンドメイドが限定リリースした箱を紹介しているだけ。あとは、2001年の弾き語りアルバムと、没後、発掘リリースされた遺作と。

あまりちゃんとした初期名盤、たとえば『ブラック&ホワイト』とか『…コンティニュード』とか『トニー・ジョー』とかの紹介をしていないことに気づきましたよ。再発のタイミングとうまく合わなかったりとか、いろいろあるわけだけど。

今日もちょっと代表作という感じではない1枚、紹介しちゃいます(笑)。デビュー以来、モニュメント、ワーナーと渡り歩いた後、数年のブランクを経て1976年、20thセンチュリー・レコードに一瞬ちらっと移籍してリリースしたセルフ・プロデュース作『アイズ』。

ここからこの人のアルバムはレコード会社を移籍しては1作ワンショットという感じで出して、またブランクが空いて、別のレーベルからぽつりと出して…みたいな放浪期に入ってしまうわけで。この盤もけっして代表作という感じではないものの。

でも、ちょっとこの人にしては珍しくメロウな側面も強調した仕上がりで。大学生時代、よく聞いたものです。当時大流行していたボズ・スキャッグスとかバリー・ホワイトっぽいテイストをトニー・ジョーなりに採り入れた1枚という感じ? 「ソウルフル・アイズ」とか「ユー・アー・ラヴド・バイ・ミー」とか大好きだった。もちろんブルージーなブギ「テキサス・ウーマン」とか、そっち方面の曲も入ってます。

で、今年に入ってすぐ、韓国の再発レーベル“ビック・ピンク”がこの盤を再発して、その国内仕様盤がヴィヴィドから今月出るみたいなのだけれど。それよりうれしいのは、bandcampやApple Musicで先日、このアルバムのボーナス・トラック入りエディションの配信がスタートしたこと。

韓ビッグ・ピンクが再発したのは全10曲入りのUSオリジナル仕様みたいだけど、『アイズ』ってアルバムはヨーロッパ盤だと同時期のシングル・オンリー音源とかも入れて曲順を入れ替えつつ収録曲を増やしたエディションとかもあって。配信のほうは、その辺の音を全部ぶちこんだ形で、さらに収録曲のホーム・レコーディング音源とかディスコ・ミックスとかも加えた全21曲仕様。「ステイ・ラヴ」って曲は今回初めて聞いたような…。

オリジナルLPはもちろんすでに持っているから、ボーナス音源目当てでバンドキャンプで配信を購入しますかね。

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