Disc Review

Goodbye Long Winter Shadow / Maia Friedman (Last Gang Records)

グッドバイ・ロング・ウィンター・シャドウ/マイア・フリードマン

ダーティ・プロジェクターズやココでの活動でおなじみ、マルチ・インストゥルメンタリストのマイア・フリードマン。2022年の『アンダー・ザ・ニュー・ライト』に続くセカンド・ソロ・アルバム、出ました。

前作ではシンセサイザーを多用しながら、独特の奥行きのある音世界を作り上げていたけれど。今回はその種のエレクトロニック系の楽器とかエフェクトの割合をぐっと減らして、ストリングス・セクションや木管楽器の存在感を強めつつ、なんとも魅力的なチェンバー・ポップ・ワールドを届けてくれた。

マイアさん本人と、ココでも活動をともにしているパヴォ・パヴォのオリヴァー・ヒル、そしてエイドリアン・レンカーやトムバーリンも手がけるフィリップ・ワインローブの共同プロデュース。

“眠りたくない/あなたが連れていきたいところへ連れて行って/そうすれば私は幸せ…”という3行をえんえん繰り返す短いオープニング・チューン「ハッピー」からなんとも催淫的。深い弦楽アンサンブルが印象的な「ニュー・フラワーズ」とか亡き友への思いを重ねたという「オン・パッシング」とか、マイアさんの優しげな癒やしの歌声も含めてその世界観に引き込まれます。

短いスニペット的な、あるいはインタールード的なトラックもいくつか。子供のおしゃべりとピアノとサックスが会話するように折り重なる「ア・ロング・ストレイト・パス」とか、ストリングスのみの「イアペタス・クレイター」とか、ハミングとトイ・ピアノが不安定に交錯する「フロッギー」とか、そういうやつが随所に効果的に顔を出す。結果、15トラックで全長31分。でも、まったく食い足りない感じはなくて。

ドラム、ベース入りのちゃんとしたバンド・アレンジにストリングスが美しく絡むラスト・チューン「ウィットネス」は、しかし最後、“あなたが優しい目を通して見たものは/何回もの人生にとって十分”と繰り返すアカペラ・ヴォーカルで締めくくられて、じんわりと不思議な余韻を残してくれる。

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