
ザ・サウンド・オヴ・マッスル・ショールズ/マイク・ファリス
元スクリーミング・チーター・ウィリーズ。ナッシュヴィルを本拠にソウルフルなサザン・ロックをぶちかましていたマイク・ファリスも、バンド解散後、ソロになってもう20年以上。サザン・ソウル、ノーザン・ソウル、ブルース、ゴスペル…自身の様々なルーツに挑みかかりつつ、名盤を着実にリリースし続けてきたけれど。
このところちょっとご無沙汰気味で。どうしたのかな、と思っていたら。久々の新作、届きました。
前作『シルヴァー&ストーン』から7年。今回は南部ソウルの本丸、アラバマ州マッスル・ショールズへ。伝説的プロデューサー、リック・ホールからFAMEスタジオを受け継いだ息子さん、ロドニー・ホールの下、ベテランFAMEギャングのひとり、クレイトン・アイヴィー(キーボード)をはじめ、ジャスティン・ホールダー(ドラム)、ウィル・マクファーレン(ギター)、ケルヴィン・ホリー(ギター)、ジムボ・ハート(ベース)ら現在のFAMEサウンドの屋台骨を支える面々が結集してサポートした1枚だ。
全11曲中9曲がファリスさんが単独で、あるいは共作で書いた曲。残る2曲、トム・ペティの「スウィンギン」とステイプル・シンガーズの「スロウ・トレイン」がカヴァー。冒頭を飾る「イーズ・オン」のイントロ、クレイトン・アイヴィーのウーリッツァ・ピアノが鳴った瞬間から、まさにマッスル・ショールズ! 以降、アップテンポ、ミディアム、バラードとりまぜつつ、クラレンス・カーターとチャネリングしたようなサザン・ソウルから、ジョー・サウスを降ろしたようなカントリー・ソウルまで、躍動的に聞かせている。
ファリスさん、一時期、地元を離れてニューヨークを拠点にしていたことがあったのだけれど、そこではやはりモチベーションが上がらない。やっぱ地元だ、テネシーだ、南部だ…という思いが、音楽的にも、歌詞的にも炸裂しているようで。かっこいいです。