Disc Review

The Bed I Made / The Softies (Father/Daughter Records)

ザ・ベッド・アイ・メイド/ザ・ソフティーズ

24年ぶりのソフティーズ! 解散してなかったんだとか。びっくり。なんと新作、出ました。うれしい。

1994年、インディ・ポップ・バンド“タイガー・トラップ”のメンバーだったローズ・メルバーグが、文通相手だった“プリティ・フェイス”のメンバー、ジェン・スブラジアを誘って結成したキュートなデュオがソフティーズ。

1994年に4曲入りEP『ラヴシート』でデビュー。その後と比べるとけっこうアップテンポ感強めだったものの、ギターと歌声だけを基調にした超シンプルな音作りがやけに新鮮で。ジャケットもかわいくて。ハマる人続出。続いて1995年、初アルバム『イッツ・ラヴ』をリリース。徐々に個性を確立しながら、ローズさんのご実家で録音したという1997年のセカンド『ウィンター・ペイジェント』へ。これが大いに高く評価されて…。

その後、2000年にフル・アルバムとしては3作目にあたる『ホリデイ・イン・ロード・アイランド』を出したあたりでひと区切り。ローズさんはカナダのヴァンクーバーを、ジェンさんはオレゴン州ポートランドを本拠にそれぞれ活動することになって。ローズさんは現地のインディ・シーンでいろいろなプロジェクトに関わりつつレコード・リリースを続けて。ジェンさんはポートランド美術大学に入学していろいろなデザインや広告の仕事を手がけたり、オール・ガール・サマー・ファン・バンドに加入したり、子育てしたり…。

でも、前述した通り、ソフティーズは解散したわけじゃなかった。2012年と2018年にはちらっとライヴをやったりもしていたみたい。確かに、もともとふたりにとってソフティーズはサイド・プロジェクトみたいな形で始まったわけだから。結成も解散もないってことなのだろう。

というわけで、このほどついに『ホリデイ…』以来24年ぶりの新作アルバム『ザ・ベッド・アイ・メイド』が完成した、と。そういうわけです。もちろん今回も基本的にはふたりが奏でるエレキ・ギターのカッティングとオブリ、たまにベース、そこにふたりのハーモニーが絶妙に絡んで…という、ほんとそれだけのミニマルな世界。相変わらずとてもキュート。ピュア。ドリーミー。

ただ、歌詞の世界観は少しだけ成熟したものになっているかも。破綻した関係、倦怠、冷めた友情、かつて愛した人の思い出、岐路で選ばなかった道、人生なんてこんなものできっとこれからも同じように続いていくだけなんだろうというほろ苦い諦観…。いやいや、ソフティーズも年齢重ねましたねー。

表現の深まり。ソフティーズは今なお現在進行形のポップ・ユニットなんだという事実を静かに思い知らせてくれる素敵な1枚です。

そういえば、今回下に載せたビデオは別曲なんだけど。「カリフォルニア・ハイウェイ99」って曲のクリップも公開されていて。こちらはアニメ。車にふたりが乗ってブレッドのカセットをカーステでかける様子とか出てくるのだけど。なんか、そういうセンスもぐっとくる。“そしてラジオのカントリー局が思い出させてくれた/あなたと私は一緒になる運命じゃなかったってことを…”ってフレーズとか、妙に耳に残りました。

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