ジャパニーズ・シングル・コレクション〜グレイテスト・ヒッツ〜/ブルース・スプリングスティーン
以前、こちらでも書いた通り、ぼくは遅れてきたブルース・スプリングスティーン・ファンで。本格的にドハマリしたのは1980年。シングル「ハングリー・ハート」とアルバム『ザ・リバー』がきっかけだった。もちろんそれまでも彼の歌声は知っていたし、「明日なき暴走(Born to Run)」とか「暗闇へ突走れ(Prove It All Night)」とか、全米トップ40入りしていたシングルはよく聞いていたけれど。最初はそこまでハマったわけでもなく。
しかし、『ザ・リバー』に思いきりやられて。遅ればせながらスプリングスティーンのすべてを聞きたくなって。ものすごい勢いで過去の音源とか、ブートレッグのビデオとか、そういったものを集め出した。聞きまくって、見まくって。遅れを取り戻そうとスプリングスティーン漬けの日々を送ったものだ。懐かしい。
そんな中、ものすごく印象に残っているのが、おなじみ、1978年にアリゾナ州フェニックスで撮影された「ロザリータ」のライヴ映像で。『ベストヒットUSA』とかでもオンエアされたのでご覧になった方は多いと思うのだけれど。Eストリート・バンドを引き連れ、ステージに駆け上がるファンの女の子たちを雑にさばきながらぐいぐいロックンロールするボスのパフォーマンスがあまりにもかっこよく。これ見てからというもの、さらに深くスプリングスティーン沼にずぶずぶ…。
もう40年以上前のことになるけれど、そんな時期のことをあれこれ思い出してしまいましたよ。今回日本で編まれた最新ベスト盤を手にして。
今年、ボスはデビュー50周年。ということで、1973年の『アズベリー・パークからの挨拶』から2014年の『ハイ・ホープス』まで、ライヴも含む25タイトルが12月にかけてブルースペックCD+紙ジャケでの再発がスタートした。で、それと併せて10月25日に出たのが2CD+2DVDという4枚組『ジャパニーズ・シングル・コレクション〜グレイテスト・ヒッツ』なのでありました。
2CDのほうには1975年から1999年まで、日本で出たシングルのA面曲をすべて年代順にUSシングル・ヴァージョンで収録。もちろん日本独自のシングル・カット曲「アイ・ウォナ・マリー・ユー」や「ロール・オブ・ザ・ダイス」も入っている。日本未発売のプロモ・シングルとか「マイ・ホームタウン」のB面とかで世に出た「サンタが街へやってくる(Santa Claus Is Comin' to Town)」をはじめ、映画『デッドマン・ウォーキング』の同名主題歌とか、映画『カセットテープ・ダイアリーズ』の挿入歌「アイル・スタンド・バイ・ユー」、さらに2014年のレコード・ストア・デイに限定リリースされた「アメリカン・ビューティー」などもボーナス追加。
まあ、スプリングスティーンの場合、「サンタ…」も含めて実はシングルB面に「ビー・トゥルー」とか「ピンク・キャディラック」とか「ジャージー・ガール」とか「スタンド・オン・イット」とか「メリー・クリスマス・ベイビー」とか重要曲がいろいろ入っていたりもするわけで。A面だけ並べるというコンセプトが少々残念ではあります。が、まあ、こればっかりは収録時間の関係で仕方ないのかな。
2DVDのほうにはスプリングスティーンの全ビデオクリップ、および1978〜2013年のライヴ映像からのセレクションを満載。23曲の世界初DVD化を含む全63曲という大盤振る舞いだ。もちろん、例の「ロザリータ」も入ってはいますが。ちょびっとだけ残念なのは、超強力なメンバー紹介パートがばっさりカットされた『ザ・ビデオ1978〜2000』収録の短縮版になっていること。あのメンバー紹介が熱かったんだけどなぁ…。てことで、今日は下にその長いほうの映像、貼っておきますね。今回のベストには入ってないけど(笑)。
とか、あれこれ文句を言いつつも、これでも十分におなかいっぱい、満足度マックスのアンソロジーであることは確か。足りない部分は自分で補いますかね。現在、スプリングスティーンは体調不良で全米ツアーを延期している状態。今ツアーのオフィシャル・ライヴ音源リリースのほうも当然9月3日のニュージャージー公演分でお休みに入っちゃっているのだけれど。
来年早々ツアー再開との報せも届いてひと安心。その9月3日の公演でも、「トゥー・ハーツ」を今ツアー初披露したり、「ジャングルランド」「デトロイト・メドレー」「ジャージー・ガール」などもぶちかましたり。とてもその後体調を崩すとは思えぬパワーを見せつけてくれていたし。本格復帰を心待ちにしつつ、それまでこの最新ベストで楽しみます。