NBPファイル vol.27：笑い歌

NBPファイル vol.27：笑い歌

いつものように bandcamp のニュー・リリースを探索していたら、フォンテインというアーティストの曲に出くわしまして。

フォンテインは、元ダーク・ファーズのスザンヌ・メイのソロ・プロジェクト。ダーク・ファーズではちょいトンガった感じのニュー・ウェイヴ・ポップを目指していたようだけれど、フォンテインではぐっとレトロ方面にシフトチェンジして。初アルバム『トリップ・ザ・ライト・ファンタスティック』では、往年のローレル・キャニオン的なサウンドスケープというか、ウッドストック的なマジカルさというか、そういったものをたたえたヴィンテージ・ポップ・サウンドを聞かせてくれている。

けっこう佳曲ぞろい。ぼくは特に1曲目の「ジーズ・デイズ」とラス曲の「サヴァンナ」にやられました。国内流通盤も出ているし本ブログでも紹介しようと思っていたものの、ちょっと夏休みいただいたりしていた時期だったこともありぐずぐずしていて。でも昨日、お散歩しながらまた「ジーズ・デイズ」を聞いていたところ、ラストにウフフッと彼女の笑い声が入るところがキュートでやっぱりたまらないな、と思い直し。本日、スロウバック・サーズデイ恒例のプレイリストのほうでこの曲をフィーチャーすることにした、と。そういう感じです。

加えて、今週はどんなプレイリストを作ろうかなと思って8月25日近辺の出来事みたいなやつを調べていたところ、1日ずれてはいるものの、59年前、1969年の8月26日、エルヴィス・プレスリーがラスベガスのインターナショナル・ホテルで行なったコンサートのミッドナイト・ショーで、あの、伝説的な「今夜はひとりかい？（Are You Lonesome Tonight）」のパフォーマンスを展開していたことが判明。

あの夜、エルヴィスは、“Do you gaze at your doorstep and picture me there?（玄関を見つめながら、ぼくの姿を思い浮かべているの？）”という歌詞の部分を、突然“Do you gaze at your bald head and wish you had hair?（自分の禿げ上がった頭を見つめて、そこに髪があったらと願う？）”と変えて歌ったのでした。

なんでもそのとき会場内が暑くなってきたため、客席最前列にいた男性が歌の途中でカツラを外してそれをうちわ代わりに扇ぎだしたとかなんとか。それに対応して思わず歌詞を変えて歌ったエルヴィス。以降はもう笑いっぱなし。グダグダ。でも、そんな中、バック・コーラスのシシー・ヒューストン（ホイットニーの母親）がアクシデントにもめげずプロとしての役割を全うすべく、見事きっちりと素晴らしいソプラノを聞かせ続けて。

実はそのシシーの徹頭徹尾、真面目なソプラノ・ヴォーカルこそがエルヴィスを笑い続けさせた最大の要因だったとも言われているのだけれど。ともあれ、そんな混乱の極致みたいな音源が、やがて1980年になってから「今夜はひとりかい？（ラフィング・ヴァージョン）」としてボックスセットに収録され世に出て。イギリスでは1982年にシングル・カットまでされてヒットしたりして。

エンディングでエルヴィスが口にする「（デビューしてからの）14年間が水の泡だな」というMCがまた泣ける。

ということで、長い導入になっちゃいましたが。要するに、ともに笑い声が印象的に入っているフォンテインの「ジーズ・デイズ」とエルヴィスの「今夜はひとりかい？（ラフィング・ヴァージョン）」で挟み込む形で、曲のどこかに笑い声が入っている楽曲のプレイリスト、作ってみることにした、と。そういうくだらない流れです。

歌っている途中で笑っちゃってるものや、曲のどこかにちらりと笑い声が挿入されているものや、歌詞に笑い声が盛り込まれているものや、ずっとふざけっぱなしのものや…。そんな楽しい曲をずらり12曲集めてみました。ゲラゲラものもあれば、クスクスものも、ニヤニヤものも、各種取りそろえてあります。

つられて笑っちゃってください。

The Laughing Songs