Disc Review

Starfruit / Moonchild (Tru Thoughts)

スターフルーツ/ムーンチャイルド

ファースト・アルバムの『ビー・フリー』が2012年リリースだから。もうデビューして10年かぁ。

ヴォーカルやキーボードのみならず、サックス、フルート、トランペット、クラリネットなど多彩な管楽器まで自ら演奏してしまうマルチ奏者、アンバー・ナヴラン、マックス・ブリック、アンドリス・マットソンという顔ぶれからなる女性1人男性2人のネオ・ソウル・ユニット、ムーンチャイルドの新作、出ました。先月半ばに。てことで、ちょっと遅れてのピックアップです。

出世作となった2015年のセカンド『プリーズ・リワインド』、2017年の『ボイジャー』、2019年の『リトル・ゴースト』に続く5作目。それが本作『スターフルーツ』だ。これまでは基本的にメンバー3人のみでアルバムを構築してきた彼らながら、今回は多くのゲストを迎えてレコーディング。結成10年の節目に新たな一歩を記した意欲作です。

もちろん、基本的なスタイルはこれまで通り。甘いメロディとパーソナルな歌詞をアンニュイに綴るアンバーの歌声を核に、クールでジャジーで都会的で繊細で知的なアンサンブルがふわっと舞う。なんとも夢見心地なネオ・スウィート・ソウル・ワールド。

で、前述の通り、今回はそこに様々なゲストが迎えられているわけだけれど。

特にダニー・ハザウェイの娘であるレイラ・ハザウェイと、アーニー・アイズレーの娘、アレックス・アイズレーの参加がなんとも象徴的だ。レジェンドの魅力を次世代へと正統に継ぐ存在のゲスト参加。これが、往年のソウルとかジャズの魅力を心底リスペクトしながら今の時代に息づく心地よいグルーヴを編み上げようとしているムーンチャイルドのコンセプトと有機的に絡み合って。ちょっとぐっとくる。

その他、半数くらいの曲に、イル・カミーユ、タンク&ザ・バンガス、ラプソディ、ムームー・フレッシュ、シャンテ・カンら多彩な黒人女性アーティストが客演。ゲストそれぞれが曲作りに関わったりもしながらのレコーディングだったようで。そういう意味でもムーンチャイルドにとって確実に次へと向かう新たな一歩となった新作という感じだ。

4月になると、数種類のカラー・ヴァイナルLP(Amazon / Tower)も出るそうで。それ頼んで、到着を待ちながらとりあえずサブスクで楽しもうかな。あー、でも、どの色にしよう…。

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