ア・フール・トゥ・ケア/ボズ・スキャッグス
そういえば、この盤、紹介し忘れてました。といっても、別にぼくが紹介するまでもない1枚ではありますが。ボズ・スキャッグスの新作。2013年リリースの『メンフィス』に続き、今度はナッシュヴィルのスタジオへと出向いて、往年のニューオーリンズR&Bやシカゴ・ソウル、フィラデルフィア・ソウルなどの名曲を自然体でカヴァーしまくっております。
リル・ミレット&ザ・クレオールズの「リッチ・ウーマン」、ジョー・バリーのルイジアナ風味満点のカヴァー盤を下敷きにした「アイム・ア・フール・トゥ・ケア」、ヒューイ“ピアノ”スミスによるごきげんなニューオーリンズ・ロックンロール「ハイ・ブラッド・プレッシャー」あたりを核に、インプレッションズの「アイム・ソー・プラウド」、アル・グリーンの「フル・オヴ・ファイア」、スピナーズの「ラヴ・ドント・ラヴ・ノーバディ」などをちりばめて。さらにボビー・チャールズの「スモール・タウン・トーク」やザ・バンドの「ウィスパリング・パインズ」(ルシンダ・ウィリアムスとのデュエット)、そして英シンガー・ソングライター、リチャード・ハウリーの「ゼアズ・ア・ストーム・ア・カミン」など。これらがカヴァーもの。
そこにボニー・レイットが渋いスライド・ギターとヴォーカルで参戦した泥臭いロックンロール「ヘル・トゥ・ペイ」をはじめ、ラテン的な哀愁をたたえた「ラスト・タンゴ・オン16thストリート」「アイ・ウォント・トゥ・シー・ユー」というオリジナル曲が交ざる。
前作に引き続きプロデュースも手がけたスティーヴ・ジョーダン(ドラム)をはじめ、ウィリー・ウィークス(ベース)、レイ・パーカーJr.(ギター)、ジム・コックス(キーボード)ら腕利きバンドがほぼ原曲の味を壊さずに展開する演奏に乗せて、まさに年の功としか言いようのないリラックスした歌声を披露するボズ。アル・アンダーソン、レジー・ヤングなど曲によっての参加メンバーも興味深い。とにかく、力の抜け具合がとてつもなくて。これをもって、ボズはもうダメになったとか浅い辛口批評も湧いてきそうではあるけれど。これ、昨日今日の若造には絶対に真似できないワザだから。それだけでかっこいいです。来日公演も楽しみだ。チケット買ったぜ!
ちなみに、ぼくは3月末からJRN系ネットワークで『萩原健太のMusic SMiLE』って10分弱の番組を担当していて。月〜金、毎日1〜2曲ずつ紹介してます。といっても流してくれている地域も時間もまちまちで。聞ける局と聞けない局とがあるのだけれど。聞ける地域の方、ぜひお試しください。今週はずっとこのボズの新作の特集です。お金かかっちゃいますが、radikoプレミアムとか入ってらっしゃる方なら、探せば(笑)どこかの局が流してくれているはずですので。ひとつ、よろしく。