マジック・カラーは恋の色〜ザ・ロスト・アルバム/レスリー・ゴーア
暑いすね。来週に迫ったCRTビーチ・ボーイズまつり目指して、酷暑を乗り切っていきたいとがんばっております。そんな中、届けられたちょっと涼しげな1枚。60年代ガール・ポップ・サウンドの最高峰、レズリー・ゴアの未発表アルバムです。
うきうきキュートなティーンエイジ・ポップもので63年以降、全米ヒットを連発した彼女も、20歳代に突入した66年ごろからは勢いが下火に。起死回生を狙って当時流行していたフォーク・ロック/サンシャイン・ポップ系の作風に挑んだりしたものの、そのテのシングルが売り上げ的に今ひとつパッとしなかったこともあって、1967年当時、発売が見送られてしまった幻のアルバム。以前、ベア・ファミリーから出た彼女のボックスセットを持っている方には特に目新しい音源はないのだけれど、やはりこうして1枚にまとめられるとうれしいものです。英ACEのいい仕事です。
プロデュースはスティーヴ・ダグラス。一部、ボブ・クルー。アレンジは大方アル・キャプス。演奏はレッキング・クルーの面々。バリー・マン&シンシア・ワイル、ニール・セダカ&ハワード・グリーンフィールド、のちにブレッドを結成することになるジミー・グリフィン&マイケル・ゴードン、バリー&ザ・タマレーンズのボウディ・チャンドラー、テディ・ランダッツォ、ラスカルズのフェリックス・キャヴァリエ&エディ・ブリガッティなど興味深い顔ぶれによる楽曲を、オリジナル、カヴァー交えて取り上げた意欲作だ。
オリジナルLPに収録予定だった10曲に加えて、67~69年のシングル音源や未発表ものを15曲ボーナス収録。ボーナスのほうにはポール・レカ、トム・ベル、ケニー・ギャンプル&レオン・ハフ、トレイド・マーティンらも関わっている。緻密で洗練された音像と、どうしても昔の癖が抜けきらないのか、時々ブレンダ・リーばりのうなりを聞かせちゃったりするレズリー嬢の歌声とのマッチングは微妙なのだけれど。そんな感触も含めて、ああ、混乱の60年代後半だなぁ、と。なんだかほんのりするのでありました。
1曲ごとに詳細な解説が付いているのもうれしい。ので、日本語訳が付くというMSIによる国内配給盤を待つのもよろしいか、と。