Disc Review

Odessey & Oracle {Revisited}: 40th Anniversary Live Concert / The Zombies (Redhouse)

オデッセイ&オクラル〜40周年ライヴ・コンサート/ザ・ゾンビーズ

ニール・ヤングのアーカイヴ・ボックス。オフィシャル・サイトでヤングさんの強いおすすめに従ってブルーレイ版を予約したら、発売に先駆けて予約特典の"Preview Disc" ってのが届きましたよ。ザ・スクワイアーズ時代のシングル音源から始まって、バッファローのボックスでも聞けた曲の別ヴァージョンとか、初期のレアものがずらり。事前発表された『アーカイヴズVOL.1』の曲目表と見比べると、あそこにディスク0としてリストアップされていた内容が今回届いたプレビュー・ディスクと同じみたいだけど。まあ、一足先に楽しめたってことで。現在の吼えまくりオヤジっぽいイメージからは想像もできない、初々しいヤング青年の魅力が堪能できます。

さすがブルーレイならではのマルチな操作性で、曲をファイル・キャビネットで探索しながら、資料を見たり、歌詞を見たり、タイムライン検索をしたり、なかなか楽しい。音だけ聞きたいときにはちょっとまどろっこしいけれど、今後のアンソロジーものの在り方の可能性のひとつではあるな、と。興味深い。

まあ、このアーカイヴ・ボックスに関しては6月に正式リリースされてから取り上げたほうがいいかな。ニール・ヤングに関しては明日、ネイキッド・ロフトでのCRTで森達也×鈴木慶一という豪華ゲスト競演のもと、たっぷり味わう予定なので、そちらのほうもぜひお楽しみに。新作『フォーク・イン・ザ・ロード』のことはもちろん、結局日本では公開もDVD発売もされていないヤング監督によるドキュメンタリー映画『デジャ・ヴ』のことにも深く分け入って行ければ、と思ってます。

ということで、今回のピックアップ・アルバムはまた別物。ゾンビーズ、いきましょう。イギリスでは去年半ばに出た盤だけれど、ようやく今月MSIから国内配給もされることになったので、遅ればせながら取り上げておきます。

一昨年の9月、ロンドンにブライアン・ウィルソンのライヴを見に行ったとき、オフ日にブライアン・バンドの中心メンバーでもあるダリアン・サハナジャと食事をして。そのとき、彼が「今度、実はゾンビーズの再結成ステージに参加するんだ」という話をしていた。なんでも、かの名盤『オデッセイ&オラクル』の発売40周年を祝して、ゾンビーズがアルバムの全曲ライヴ演奏をやることになっていて。その話をメンバーから聞いたダリアンは「いいね、絶対に見に来るよ」と言ったところ、「見に来るんだったら、バンドに参加してくれ」と言われたのだとか。まあ、ダリアンの場合、ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』や『スマイル』、ラヴの『フォーエヴァー・チェンジズ』など、往年の名盤をライヴで全曲再現することにかけてはもう職人というか。過去の名作への深い敬愛と豊かな知識は並じゃない。絶対必要な人材なのだろう。

そんなダリアンの予言通り、故ポール・アトキンソンを除くゾンビーズのオリジナル・メンバーが勢揃い。ダリアンを含むサポート・メンバーを従えて40年前の名盤をライヴの場で初完全再現してみせた。本盤はその記録だ。2枚組で。ディスク1が「ケア・オヴ・セル44」に始まり「ふたりのシーズン」で終わる『オデッセイ&オラクル』編。ディスク2がゾンビーズのレパートリーおよびメンバーのソロ曲からの名曲集。これもなかなかコーフンもの。「テル・ハー・ノー」「シーズ・ノット・ゼア」「好きさ好きさ好きさ」あたりはもちろん、コリン・ブランストーンの「ミスティ・ローゼズ」とか、もう泣けます。ストリングス・セクションもバックに配されて。完璧だ。

実は先日ロンドンに行ったとき、ゾンビーズはこの『オデッセイ&オラクル』ライヴをまだやっていたんだよなぁ。ロンドン公演もあって。でも、その日はボブ・ディランのO2アリーナ公演の日で。残念ながら生で見ることはできなかったのだけれど。惜しかった…。

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