Disc Review

Sweet Granchild of Niagara: Ring-a-Bell / Marina Watanabe (Yoo-Loo)

リング・ア・ベル/渡辺満里奈

 去年、大滝詠一師匠のプロデュースのもと、シングル「うれしい予感」をリリースした渡辺満里奈。彼女のファンはもちろん、大滝=ナイアガラ・ファンにとっても、久々の新作大滝メロディだっただけに、大いに盛り上がったものだけれど。 そんな満里奈さん待望の新作は、やはり大滝プロデュースによる6曲入りミニ・アルバムだ。タイトルは『Ring-a-Bell』。3月21日にリリースされる。佐野元春も1曲書き下ろしを提供。杉真理もアレンジで参加。名前はクレジットされていないものの、重要なナイアガラ・ファミリー2人のシークレット・ゲスト参加もある。ずっとずっとずっと昔に大滝師匠がプロデュースした金延幸子の名曲「あなたから遠くへ」のカヴァーもある(満里奈さんは、大滝師匠と出会う以前からこの曲をステージでカヴァーしていたそうだ)。キュートなオールディーズ・ヒット「いちごの片思い」を新規訳詞版(新春放談で流れたでしょ?)も入っている。このあたりは、むしろ満里奈ファンよりもナイアガラ・ファンに熱烈歓迎されそうな要素かな。不肖ワタクシ、萩原も1曲、作・編曲で関わらせてもらってます。 満里奈ファンにとって断然うれしいのは、ブルボンのテレビCMのバックに流れている「約束の場所まで」。あと、スポーツ新聞とかで満里奈さんとウワサになったトータス松本を筆頭とするウルフルズのコーラス参加もあって、この辺は複雑のところでしょうか。ウルフルズは大滝師匠の「びんぼう」をカヴァーしているし、「福生ストラット」をベースにした「大阪ストラット」もやってるし。これまたナイアガラの脈絡だなぁ。 大滝詠一というナイアガラ創世主世代がいて、佐野・杉のような第二世代がいて、で、ウルフルズ、満里奈さんという、まさに“孫”の世代がいて。日本のポップ・シーンにも面白い“連環”というか“文脈”というか“歴史”というか、そういうものが根づきつつあることよのぉ……と再確認できる1枚です。 このアルバムのプロモーション用資料に、やはりナイアガラ第三世代系ファンでもあり、本盤の収録曲中3曲で作詞家としても関わっている能地祐子が文章を寄せているので、それを下に引用しておきます。無断です(笑)。

「母親が選んだ服を着る、東京の女の子」というイメージを、これほとまでに自然体で見せてくれるアイドルがいるんだなぁ。というのが、デビューしたばかりの満里奈ちゃんを初めて見た時の強烈な印象だった。あれから8年あまり。彼女は「自分で服を選ぶ女性」になり、“満里奈ちゃん”から“満里奈さん”になった。そして、このアルバムは「“満里奈ちゃん”だった“満里奈さん”」をドンピシャリに体現している。誰だって永遠に16歳のままではいられない。けれど、満里奈さんの柔らかなヴォーカルには、最近の彼女らしさと同時に10代の頃のチャーミングな面影も見え隠れしている。今の披女の“自然ないい感じ”は、やはり一朝一夕で完成したものではないわけだ。と、しみじみ思う今日この頃。 デビュー曲「深呼吸して」の中で、ほのかな初恋を“深呼吸して”胸の内側にそっと閉じこめてしまった内気な女の子。彼女が今、どういう女性に成長してどんな恋をしているのか?つまり、かつての「母親が選んだ服を着る、東京の女の子」がどんなオトナになったのかという“ティーンエイジ・ポップスの続編”をいつか聞いてみたいと思っていた。それは今の満里奈さんじゃないと歌えない世界であり、今回のアルバムはまさにそういった要素もたっぷり含んでいる。その手触りが、わたしは個人的に非常にうれしかったりする。ちなみに、今回はわたしも歌詞の面でお手伝いさせていただいたのだが。「約束の場所まで…」に出てくるのは、たぶん8年前に出会った“あのコ”なんです。
by YUKO NOHJI

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