
トーキン・トゥ・ザ・トゥリーズ/ニール・ヤング&ザ・クローム・ハーツ
いやー、本当に次から次へと。うれしいけど。すごいな、ニール・ヤング、79歳。
本ブログでこの1年でどのくらいニールさんのリリースを紹介したか、検索かけてみたら——
新しいほうから順に、5月7日に『Coastal Soundtrack』、3月7日に『Oceanside Countryside』、去年の9月11日に強烈なボックスセット『Neil Young Archives, Vol. III: 1976-1987』、6月28日にクレイジー・ホースとの『Early Daze』。
12月11日にはアルバムではないけれど、とても素敵な選曲だったプレイリスト『Fireplace』も取り上げたし。
新旧取り混ぜ4作+プレイリスト1本。で、またまたここにきて新作です。この多作ぶりというか、作り捨て感というか、これもまたニール・ヤングならではの魅力。着いていくのが大変っちゃ大変だけど。雑に次々放たれるリリースすべてに、まじ、最高に輝く瞬間が必ず記録されているだけに着いていくのをやめられない。
今回は、2024年のクレイジー・ホースとの北米ツアーが、メンバーの何人か、まあ、“何人か”ってくらいだから、たぶんラルフとビリーふたりともなのだろうけど、体調を崩してしまったとかで中止となって。その代わりに急遽結成された新バンド、クローム・ハーツとのレコーディング。
クローム・ハーツは、一昨年、ニルス・ロフグレンに代わってクレイジー・ホース入りしたマイカ・ネルソン(ギター)をはじめ、マイカとともにプロミス・オヴ・リアルでプレイしているコーリー・マコーミック(ベース)、アンソニー・ロガーフォ(ドラム)、そしてニールさんとは1970年代からの付き合いになるスプーナー・オールダム(キーボード)という面々。ホースの代役というか、彼らと同じとまではいかないまでも、かなりニールさんとも絆の深い顔ぶれだ。
ニールさんとルー・アドラーが共同プロデュース。レコーディングはリック・ルービンのシャングリラ・スタジオ。
どことなく「ヘルプレス」を思わせる「ファースト・ファイア・オヴ・ウィンター」とか、ちょっと「デンジャー・バード」っぽい「ボトル・オヴ・ラヴ」とか、もろウディ・ガスリーなメロディに乗せて長い付き合いになったツアー・バスへの思いを綴る「シルヴァー・イーグル」とか、そういうのを平気でやっちゃうのも、いかにもこの人っぽく。
もちろん政治的な、というか、アメリカの現実への怒りがノイズとなって渦巻く「ビッグ・チェンジ」とか、反トランプ/反テスラのメッセージが強烈な「レッツ・ロール・アゲイン」とかもある。ボブ・ディランへの興味深い言及もある表題曲は、“時は来た/目を覚ます時が/今日ふたたび/今日ふたたび…”というリフレインで終わる。
ニール・ヤングの“今”が様々な切り口から記録された1枚。やっぱすごいです。着いていきます。