Disc Review

To Be Clear / Mia Kelly (Acronym Records)

トゥ・ビー・クリア/ミア・ケリー

カナダ、ケベック州出身のシンガー・ソングライター、ミア・ケリーが10月にリリースしたセカンド・アルバム。ぼくはこのアルバムで初めて知った個性なのだけれど。

デビューは2022年。アルバム『ガーデン・スルー・ザ・ウォー』をリリースし、各方面で少しずつ注目を集め始めて。で、今年。カナディアン・フォーク・ミュージック・アワードでヤング・パフォーマー・オヴ・ザ・イヤーと、エマージング・アーティスト・オヴ・ザ・イヤーを獲得。一気に注目度をアップさせたとのこと。

ちょい太めの個性的な歌声と、エモーショナルな歌唱が印象的。あまりよくは理解できてはいないものの、歌詞もなんだか深そうで。ストーリーテリングも巧み。冒頭の「ボーンフィッシュ・ボーイズ」って曲からソッコー惹きつけられた。

この曲、ケリーが旅先で出会ったという男性について歌ったフォーク・バラッド。1950年代に英国海軍に入隊した少年が、海上での十数年の苦悩を経て、やがてコカインに溺れていく心情がブルージーに語られる。おじいちゃんがミアさんの歌声に合わせて口パクしているビデオクリップもなんか強烈だった。

カナダで自らミュージシャンとして、あるいはプロデューサーとして、キャスリーン・エドワーズやトラジカリー・ヒップなどと活動しているジム・ブライソンがプロデュース。これはデビュー・アルバムに引き続き、らしい。オンタリオ州にあるブライソンのスタジオでのレコーディング。ドラム、ホーン、コーラス以外、ほぼすべての楽器をミア・ケリーとジム・ブライソンが手がけているようだ。2曲ほどフランス語の曲が含まれているのがケベックっぽいかも。フランス語全然わからないので、歌われている内容さっばりですが…(笑)。

以降も、愛と喪失、心の傷み、DV、性犯罪、それらをいかに乗り越えるのか、いかに癒やしていくのか…について、静かに、しかし確かな手応えとともに歌い綴られていく。

フィジカルは今のところご本人のウェブ・ストアでしかまだ見かけていないな。バンドキャンプにもファーストしかないし。とりあえずストリーミングで楽しみます。ファーストも聞いてみようっと。

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