Disc Review

Star King: A Collection of Working and Master Versions and Mixes / Marc Bolan & T. Rex (Demon/Edsel)

スター・キング/マーク・ボラン&T.レックス

T.レックスの場合、公式・非公式問わず、本当に膨大なレア音源集がリリースされていて。あまりにも多いので、とてもついていけず。ぼくもある時期からは手を出さないようになってしまった。なもんで、現状どんなことになっているのか、さっぱりわからないのだけれど。

また出ました。新レア音源集。副題通り多彩な別ヴァージョンや別ミックスのコレクションだ。今回は先週の土曜日、6月12日、今年最初のレコード・ストア・デイに合わせて英デーモン・レコードがアナログLP化したもので。2019年の『バンプ・ン・グラインド』、2020年の『シャドウヘッド』に続く公式レア音源LPということになる。オフィシャル。なのでちょっと気になってチェックしてみた。

といっても、まあ、熱心なファンの方ならばご存じの通り、『バンプ・ン・グラインド』も『シャドウヘッド』もそれぞれ20年くらい前に日本でCD化されていて。デーモンが去年および一昨年にヴァイナル化してくれたのはその本編というか。編纂を手がけたサンダーウイング・プロダクションがCD化の際に追加したボーナス・トラック群をごっそり除いたアルバム本体部分のみだった。

今回はそれら、ヴァイナル化の際に外されたボーナス・トラック群、つまり「クリスマス・バップ」のマスター・ヴァージョン、「ザ・グルーヴァー」のアコースティック・デモ、「チルドレン・オヴ・ザ・レヴォルーション」の12分半に及ぶジャム、「ベイビー・ブーメラン」の1974年ワーキング・ヴァージョン、シスター・パット・ホールのヴォーカルをフィーチャーした「ビッグ・ブラック・キャット」のマスター・ヴァージョン、「グルーヴ・ア・リトル」のワーキング・ヴァージョンという6曲の初ヴァイナル化がメイン。

さらに、「ブラックジャック」の初期マスター・ヴァージョンや、これまでサンダーウイング・プロダクションのプロモCDにのみ収録されていた「ボーン・トゥ・ブギー」のワーキング・ヴァージョン、テレビ番組『トップ・オヴ・ザ・ポップス』用に再録された「ドリーミー・レディ」、「スクイント・アイ・マングル」のラフ・ミックスも追加されて。計10曲入り。

ということで、熱心なファンの方にしてみると、“初ヴァイナル化”というポイントこそが最大の惹きになるブツなわけだ。けど、デーモンがレコード・ストア・デイUKに合わせてリリースした180グラム重量盤レッド・ヴァイナルは、どうやら世界限定2000枚らしく。いやー、どうだろう。なんか、ゲットできる気がしない(笑)。まだ日本のレコード屋さんには入っていないみたいだし。いちおうダメもとでUKのレコード屋さんに発注だけはしてみたけれど、いまだコンファームのメールは来ない。んー、無理かも…。

まあ、『バンプ・ン・グラインド』『シャドウヘッド』もまだ日本のオンライン・ストアでアナログ盤が買えるみたいだから、今回もちょっと待てば少しは日本にも入ってくるのかな。落ち着け、俺。様子を見てみよう。ストリーミング/ダウンロード販売もされている(Apple Music)から、今のところはとりあえずはそれで思いきり楽しんでおります。いい時代になったなと思う。ただし、AmazonはまだUKのみでの扱いみたい。

で、久々にこの手のレア音源集に接してみて、大いに盛り上がりました。やっぱいいわ、マーク・ボラン。

ボランへのぼくの個人的な思いは、以前、本ブログのこちらのエントリーであれこれ書かせてもらったことがあるので、くどく繰り返しはしませんが。歳月を経るにつれ、さらにこの人の稀有さというか、特異性というか、特に当時のシーンにおけるありがたみというか、そういったものをじわじわ実感できるようになってきて。誰にも真似のできないすごい人だったな、という思いを新たにする。

そんなマーク・ボランの試行錯誤をもろもろ立体的に追体験できる新レア音源集。すべてオリジナル・マスター・テープからのトランスファーだとか。えー、そんなこと聞くとますますヴァイナルで手に入れたくなってくるんですけど。うー…。

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