レッキング・ボール/ブルース・スプリングスティーン
先月、仕事でメンフィスに1週間ほど行って。むちゃくちゃ楽しかったんだけど。
ただ、その間の仕事のしわ寄せってのが思いのほかものすごくて。帰国後、もう3週間になるってのに、ようやく一段落ついたって状況。そんなに忙しいのか…とか言われそうですが。全然。そうじゃなくて。トシとったもんで仕事の処理能力が落ちちゃってるだけなんだけど。
そんなこんなで、またまた更新の間隔が大きく空いちゃいました。久々の更新のときって、どのアルバムを紹介しようか、実に悩ましいというか。更新できてない間にも新譜は出続けているわけで。いい盤が溢れちゃう。あれもこれも紹介したいぞ…と悩んで、あげく決めきれずに更新も諦める、みたいな(笑)。でも、ちょうどいい具合にごついのが出たから。軽くこいつを紹介して、更新再開ってことにしましょう。
ブルース・スプリングスティーン。盟友クラレンス・クレモンズ他界後の初アルバムってこともあって、どうしてもそういう往年のEストリート・バンド・サウンドへの眼差しみたいな部分ばかり強調されている感もあるけれど。これは確実に“シーガー・セッションズ”以降の大傑作。2006年に米モダン・フォーク・リヴァイヴァルの父、ピート・シーガー絡みの曲ばかりカヴァーしまくった、あの、完全アコースティック・セッションでつかみとった確信のようなものが全編をがっちり貫いていて。
ちょうどボブ・ディランが、30周年記念コンサートを挟んでブルース/フォークのカヴァー盤を2枚出したあと、急激に存在感が甦ってきたときと同じような感触。なんか、盛り上がります。歌詞も含めて、ジョニー・キャッシュ化がぐんと深まったような…。ドラム・ループが使われていたり、古い聖歌のフィールド・レコーディングをサンプリングしていたり、カントリーやR&Bの名曲からリフを意図的に引用していたり、時空を超えた音楽要素の交錯具合がなんともスリリング。
とはいえ、すでにライヴではおなじみの「ランド・オヴ・ホープ・アンド・ドリームズ」の初スタジオ・ヴァージョンで聞くことができる、在りし日のクラレンス・クレモンズによるサックスの咆哮には、やっぱり胸が締め付けられます。
ちなみに、このスペシャル・エディション、ジャケットのサイズが妙に、こう、なんというか、中途半端なでかさです。CD棚に入らねーよ…。